普段仕事で接客をしていて、交換した部品や作業の内容を説明するときに少し困ることがある。それは、「このお客さんはどれだけクルマのことを知っているのか」ということだ。専門用語の使いどころに困るのである。
「ブレーキパッド」というモノが何であるかということを知っている人はけっこう多いと思う。しかし知らない人はホントに知らない。逆にメカ通のじいちゃんがいたりして驚かされることもある。
ある日シビックのタイプRに乗ってきたニーチャンがいて、まあタイプRなんかに乗っているぐらいだから、と思って専門用語(とは言ってもプラグとかサスとかのレベル)を使ったら、どうもハナシが相手に通じていないような違和感を感じた。案の定ニーチャンはクルマのことを何も知らない人だった。
「タイプRに乗ってるんやったらメカのこと知っとけよ」とは言わない。クルマのことを知らなくても免許は取れるし、タイプRでもフェラーリでも乗れる。
しかし、自分が使っている道具の簡単な構造ぐらいは知っておこうと思わないのだろうか。若いネーチャンやおばちゃんはアクセルを踏んだら走ってブレーキ踏んだら止まってハンドル回したら曲がる、それだけでいいと思っている。だからアクセルを踏んで走らなくなったらすぐにパニックになるのである。「クルマ走れへんやん!どっかつぶれてるんちゃうん!」と言ってくる。ガソリン入れろ。
子供のおもちゃに電池が入っていないことを知らずに修理に持ってくる母親もいるらしい。コンセントを入れずにパソコンが立ち上がらないというヤツもいるらしい。ハンバーガーの食べすぎで肥満になったからといってハンバーガーショップを訴えるヤツもいるらしい。いずれも、おもちゃ、パソコン、身体の構造について無知すぎることが原因である。
今あなたが使っているその道具、すこしでいいから構造を知ってみましょう。道具を大切する気持ちはそこから生まれると思う。