ボウリング

 回転木馬ボウリング大会があった。自転車屋さんのイベントなのに、最近は自転車以外のイベントの方が盛り上がっているような気がするのは僕だけだろうか?

 ところで、嫁とボウリングするのは実は始めてだった。前日に「そーいや、一緒にボウリング行ったことあったっけ」「ないよ。どこも連れて行ってくれへんかったやんか」というような会話があった。

 どこも連れて行ってないだと!?自転車で豪雨の淡路島1周も行ったし、琵琶湖1周も行ったし、鈴鹿サーキットも走ったし、普通のカップルがしないようなことちゃんとしてるやんけ。ボウリングなんかそのへんのバカップルでも行くっちゅうねん。

 少し荒れた。

 とにかく始めてらしい。「らしい」と言ったのはワケがある。僕は記憶力がないからだ。僕の3大欠点の1つである(あとの2つの紹介は次回に譲る)。嫁と観に行った映画、場所、もらったもの、あげたもの、記念日、言動など、ほとんど憶えていない。80%以上はケムリに包まれてどこかに行ってしまった。

 プロポーズの言葉なんて当然憶えていない。ていうか僕が言ったのか嫁が言ったのかも憶えていない。
 TVでやっている映画を見て、「これ映画館で観たよなあ」と言ってしまって軽く冷や汗をかくことが少なくない。
 僕が着ている服を嫁が見て「誰にもらったん?」と聞かれたときは、「誰やったっけ??」と答える前に、嫁にプレゼントされた服かどうかを数少ない記憶の断片から思い出さないといけない。
 ディズニーランドやUSJなど、修羅場になる前にもう僕はそこに行ってないことにしてしまった方が無難だ。

 プライベートでもそんな状態だから、仕事でもピンチになることがある。お客さんがいきなり「こないだ見てもらったトコロ、いまひとつ良くなってないねん」と言って来ても、「はぁ〜?」となってしまう。お客さんの顔と名前が一致するなんて高度なテクニックはない。クルマのボンネットを開けてようやく思い出す始末である。お客さんの顔よりエンジンルームの方がよく憶えている。

 ボウリングの結果がめっちゃ悪かったことも、その帰りの清滝のタイムがめっちゃ悪かったことも、すでに僕の記憶から消されようとしている。そのうち「清滝最速なんて言ったっけ?」と言い出すかもしれない。