映画まとめ鑑賞

 行き帰りの飛行機の中で観た映画の感想などを。
 
 
 ★『ホットロード』 能年玲奈 登坂広臣
 
 言わずと知れた超有名アラフォー御用達少女漫画の映画化。その例に漏れず私もこの漫画を読んだことがある。とはいえ紡木たくの大ファンというわけでもなく、この漫画にその後の人生を左右されたというわけでもなく、まあ他人に聞かれたら、「ホットロード?ああ読んだことあるよ」程度の人間である。
 
 原作のファンの間では映画化にあたって賛否別れたようだが、私は原作の雰囲気が映像にも再現されていて良かったと思う。原作のキャラクターは、ペン先の細い絵面のせいなのか、少女漫画特有の空白の多いコマ割りによるせいなのか、とても繊細で儚い印象を受けたものだが、そういう部分が映像にもきちんと残されていて、映画化大反対だった原作ファンも、「まあまあやな・・・・」ぐらいには許せたのではないだろうか。
 
 我々の世代ならきっと、ラストシーンで尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」が流れた瞬間、それまでの物語がどうであれ無条件で目頭が熱くなるに違いない。ホットロードの世界にはこの曲しかない!というぐらいマッチしていたと思う。若者の無謀さ、純愛の切なさ、命の儚さなんかを頑張って映像で表現しようとしてるけれども、ファンの心の中にある世界観を全員分表現しようとするのは絶対に無理で、だけどもこの尾崎豊が流れることで、そういうちょっと足りない部分を随分と補填してくれたのではないかと思う。
 
 
 ★『ゴッドファーザー』 マーロン・ブランド アル・パチーノ
 
 雰囲気をガラリと変えて(笑)、海外版任侠映画。これだけ有名な映画なのに観たことがなかったのでちょうど良かった。この時代の洋画って好きだわー。ストーリーはご存じの方も多いと思うのでここでは書かないけれど、ただ暗くて退屈なだけのように見えるこの映画が名作と呼ばれるのはわかる気がした。
 
 馬の首が送られてきたり、マシンガンで蜂の巣にされたりとショッキングな映像が多い中、ドン・コルレオーネの家族を一番に考える側面なんかも見えて、男の生き方の全てを渋い俳優をふんだんに使って見せてくれたような感じである。アル・パチーノかっこええ。
 
 
 ★『まほろ駅前協奏曲』 瑛太 松田龍平 
 
 またまた雰囲気が変わる(笑)。これを書くまで知らなかったが小説版まほろ駅前シリーズ最新作の映画版だそうだ。訳あって同居している30代半ばの男2人が、便利屋として働く日々の中で巻き込まれていくややこしいエピソード集といった感じだろうか。
 
 登場人物それぞれの人柄などが、良くも悪くも前作から引き継がれているようで、前作からずっと観ている人にとってはキャラクターに思い入れもあるだろうから楽しめたと思う。でも私はそういう予備知識を全然知らなかったので、この物語の世界観が最後まで掴み切ることができず、なんだかずっと疎外感みたいなものを感じながら観ていたような気がする。まほろファン向けの映画だと思った。
 
 
 ★『小野寺の弟・小野寺の姉』 向井理 片桐はいり
 
 早くに両親を亡くした仲の良い姉弟を描いた物語。『まほろ駅前~』となんだか似ている雰囲気がするけど、『ゴッドファーザー』に比べれば似ているというぐらいで、こちらはほのぼのとした感じ。私はこの映画は気に入った。もう何と言っても片桐はいり無しにはこの映画は語れないというぐらい片桐はいりが光っている。ちょっと片桐はいりファンになったぐらいである。
 
 姉弟はお互いが幸せになって欲しいと日頃から願っている。弟は姉が、姉は弟がどうやったら幸せになるのだろうかということを、自分なりのやり方でお互いにやってあげようと努力しているのだが、実はそれらは自己満足に過ぎず、自分が良かれと思ってやったことは相手にとって本当の優しさになるとは限らない。そんなメッセージがこの映画の根底にある。
 
 わかりやすくてほのぼのとしていて、飛行機の中でうつらうつらしながら観るにはいい映画だった(笑)。

『鍵泥棒のメソッド』 主演:堺雅人 香川照之 広末涼子 監督:内村けんじ

 気になる映画をヨメがどんどんHDDに撮り溜めしていくので消化不良気味な毎日であるが、なんとかローラーをしながら観る機会が訪れた。
 
 銭湯で転倒し頭を打って気絶した殺し屋コンドウ(香川照之)。それをすぐそばで目撃していた売れない貧乏役者桜井(堺雅人)。ちょっとした出来心から桜井は気を失っているコンドウのロッカーの鍵を自分の鍵とすり替える。桜井の荷物と共に病院に運ばれるコンドウを尻目に恐る恐るロッカーを開けると、そこにはまとまった現金の入った財布と高級車のキーが・・・・。
 
 コンドウの高級マンションに勝手に上がり込み好き勝手やる桜井。反対に記憶喪失となりなんとか自分の人生を取り戻そうと必死に努力するコンドウ。そしてそんなコンドウの努力する姿に惚れてしまった雑誌編集長の婚活女性水嶋香苗(広末涼子)。この個性豊かな3人の演技が見事だった。さすが!という感じである。
  
 コンドウになりすました桜井は、新たな殺しの依頼を断れずに受けてしまう。なんとか逃げ出そうと計画するが、元々いい加減な性格もあって取り返しのつかない状態に。そこへ記憶の戻ったコンドウが現れ物語は急速に展開していく。コンドウの綿密な計画を実行する大事なタイミングで水嶋香苗登場。KYである。とにかくこの3人の演技が素晴らしい。特に香川照之の、殺し屋の表情と記憶喪失の表情の違いがすごい。物語の中では一応桜井が役者という設定なのだが、殺し屋コンドウが桜井に、腹を刺された時の演技指導を行うあたりなんかはとてもおもしろい。
 
 久しぶりに面白い映画を観た気がする。ヤクザ役の荒川良々の演技も良かった。あの不気味な雰囲気は、あまちゃんの時の駅長さんとは大違いである。とても面白かったです。HDDから消すのがもったいなくて本末転倒な今日このごろである。

ラン10km~ローラー60分

74661_404714039611757_1920290767_n
 
 5時起床5時半出発。自宅から河川敷、豊里大橋~赤川鉄橋1周コースから脚を伸ばして桜宮高校前を通り毛馬へ。大川沿いで帰宅の約10km。1時間以上かかった。まあスピード練習ではないから別にいいけど、せめて1時間は切りたいな。
 
 帰宅してから家事をこなし、家族が全員出払ってから部屋ローラー。おかずは録画しておいた『トランスフォーマー』。毎週テレビでやってるCGアニメのトランスフォーマーは子供と一緒にタマに観てるけど、実写版(とはいえCGが多いw)映画は初めて。なかなかおもしろかった。
 
 やっぱりスポーツカーがカーチェイスするシーンに熱くなってしまうのは私がスーパーカー世代だからだろうか。派手なカーチェイスの末にロボットに変形して闘うんだから、男の子が萌える要素がぎっしりである。特にバンブルビーが化けるカマロがカッコ良すぎ。思わず中古車の値段を調べてしまった(笑)。
 
 クルマが好きなんだなと改めて思う。アメ車には縁もゆかりもないが、それでも一度は所有してみたいと思うあの魅力はなんだろうか。当然買ったからには燃費など考えずにブンブン転がさないといけない。メンテナンスもできる広いガレージも欲しいし、それなりのファッションもしたいし、できれば助手席に美女も欲しい。
 
 私のような庶民には到底手の届かない生活環境が必要だ。クルマそのものの魅力もさることながら、クルマを所有するにあたってのそれら全ての環境に憧れるのだろう。どれかひとつだけなら達成できないこともない。カマロの中古車はちょっといい国産車並の値段で売っている。だけどそれはなんか違うんだよなー。トータルコーディネートしてこそなんだなー。
 
 やっぱり日本人にはFIT(笑)。なんだかんだ行ってFITが一番なんだ。宣伝ちゃうよ(笑)。次回のトランスフォーマーは日本車が変形してくれたらいいのにな。ヒットしないかな(笑)。

ローラー鑑賞

1889303538_16
 
 仕事で小指を骨折してしまった。まあ大したことはなく経過も順調なので特に心配することもないのだけど、調子に乗って外走りしてると、何かとっさの動きをしないといけないこともあるだろう。そんなときに小指をさらに悪化させてしまうことにもなりかねないので、外走りは自粛して自宅でローラー活動。年末年始に録り溜めたHDD内の消化活動だと思って頑張る。
 
 『コクリコ坂から』…宮崎駿アニメ。学生同士の爽やかな恋愛モノ。恋愛ストーリー自体はベタな内容だが、時代背景が昭和30年代の学生運動が激しかった頃。戦争が終わって日本が一番アツかった頃ではないだろうか。私は学生運動なんか知らないけど、当時の若者は何かと団体で熱く抗議したり紛争してたりしたんだなあと思う。「今の若者は…」なんて言葉は嫌いだけど、少なくとも外に向けての発散の方法が根本から異なる。たぶん内に秘める熱さとかエネルギーは、昔も今も変わらないと思う。昔は学生同士でワーワーやってたけれども、今はそんなことは無い。かと言って若き血潮の膨大なエネルギーが無くなったとは思えない。昔の学生は、そうやってうまくガス抜きしてたのかな。ま、そんな当時のことを考える良い機会になった作品だと思う。
 
 『麒麟の翼』…東野圭吾原作の劇場版。阿部寛主演の加賀恭一郎シリーズ。私は基本的に小説を映画化するのには反対派で、今までも原作を読んだ後に劇場版を観るとガックシすることが多かったのだが、この加賀恭一郎シリーズにおいてはキャストがしっかりしてて、それぞれの物語は完全に独立してるけど、登場人物の相関図が共通してる部分があったりして楽しめる。同じ東野圭吾原作の「湯川学シリーズ(福山雅治主演のやつね)」も同様の意味で楽しい。「加賀恭一郎シリーズ」は家族の絆を題材にしたものが多く、発生する殺人事件の解決だけでなく、崩壊しかけた家族や仲間を再び引き合わせる要素がある。この『麒麟の翼』も例外ではなく、最終的には父と息子の絆を描いてゆく。なかなか感動的作品でした。
 
 とまあこんな感じで休み休みローラートータル2時間きっちり。部屋でローラーするとチェーンの油がフローリングに飛び散って掃除が大変(^^;;

『サイタマノラッパー2』 脚本・監督/入江悠 主演/山田真歩 安藤サクラ他

 ようやく観た。スミオ部長にDVDを借りっぱなしだったのでなんだか胸のつかえが取れたようだ(笑)。『サイタマノイラッパー』のパート2である。舞台は群馬のこれまた片田舎。本作は女の子ラッパーが主役。群馬が舞台なので「グンマノラッパー」ということなのだが、まあそんなことはどうでもよい。
 
 解散したヒップポップグループを再結成しようと奮闘する女の子の苦悩と挫折を描いている。「さあやるぜ!キャッホー!!」というハイテンションから始まり、調子よく資金集めなどをしているがやがて仲間割れしてメンバーがバラバラ。やっぱり解散しようと諦めかけるも、最後にメンバーや「サイタマノイラッパー」からの励ましを受け沸々と湧き上がるラッパーソウルが…。というような内容。大まかには前作と何も変わらないが、登場人物が女の子というだけで、前作よりは排他的な印象を受けない。むしろ万人向けとなった。コアなファンにとっては物足りない部分かもしれないけど、コアでない私はこれでちょうど良い(笑)。
 
 物語全体に流れる主義主張やテーマを置いといてこんなことを書くのは重箱の隅をつつくようなことかもしれないけど、この映画のすごいなと思うところは、「ワンカットの長さ」である。劇中では登場人物たちがお互いの言い分をリズムに乗せラップ調にしてバトルする場面が何度かあるのだが、10分以上もカットなしで演技が続く。何回NG出したんかなあとか、セリフ(歌詞)覚えるの大変やったやろなあとか、ついついそういう部分に目が行ってしまう。
 
 前作も本作もラストシーンが必見で、10分以上のシーンの中でのヘタウマなラップと、どこのエキストラやねんぐらいの脇役たちの名(迷)演技に釘付けで、NGなんか出るわけはないのだが、スタッフの手に汗握るヒヤヒヤ感が伝わってくる。涙を流すとかそういう類ではないけど、そこには感動がある。まったくお金のかかっていなさにも感動する。これぐらいやったら自分でも撮れるんちゃうかと思わせるような親近感の中に、そういった超ド級の演技が見え隠れするので、いい意味で期待を裏切られるのだ。
 
 とにかく、スミオ部長の神推しがなければ絶対に観なかった映画。今後の私の音楽の趣味や人生に影響を与えると言うことはマッタク無いと思うけど(笑)、自分の守備範囲外のところにも秀作というものはたくさん転がっているものなんだなと感じた。まさに食わず嫌いであった。まあ進んで食べることもないが(笑)。スミオ部長、どうもありがとうございました。

『サイタマノラッパー』 脚本・監督/入江悠 主演/駒木根隆介・みひろ他


 
 ごくごく少人数で、水面下で、細々と活動を続けている「映画部」。これまでに観に行った映画は『おっぱいバレー』、『SEX AND THE CITY』、『モテキ』など、何か先立つものがなければ観に行かないようなものばかりをチョイス。レイトショーで缶ビール片手にヘラヘラ観るというのがスタイルである。
 
 しばらく活動はしていなかったのだが、ある日マンションのポストを見ると、部長のスミオさんから大きな封筒が届いていた。中には『サイタマノラッパー』の1と2のDVD2枚と、便箋2枚に及ぶ手紙が。文面には色々と書かれていたが、要は、今上映中の『パート3』を観に行こうではないか。それまでにこの『サイタマノラッパー』の1と2を観て予習をしなはれ、ということである。
 
 「急にどないしたん!?」と言いたくなるぐらい、彼はこの『サイタマノラッパー』を推している。神推しである。スミオ部長の音楽の趣味はアイドル系だと勝手に決めつけていたが、ひょんなきっかけでこの『サイタマノラッパー』を知り、それ以来iPodはヒップホップのヘビーローテーションだと言うから改めて熱しやすく冷めやすい性格だなと思った。
 
 私はピップホップ系は守備範囲外である。いやむしろ敬遠していたぐらいだ。あのファッション、あの喋り方、あの動き、どうも好きになれん。おそらくそういうこともスミオ部長は知っていたはずなのだが、あえてこれを推してくるのは何か意味があるのではないか。これはもしかしたらドエライ映画なのではないかと思いつつ、封を開けずに1週間(笑)。なんとか先日の休日に『パート1』だけ観てみた。
 
 舞台は埼玉県の田舎町。ヒップホップで一旗揚げてやろうと妄想する青年たちの青春を描いている。当然のことながら全編にヒップポップが流れまくり、あのファッションの人間がバンバン出てくるし、普通のセリフまでもがラップ調であったり、敬遠していた者にとっては目を覆いたくなるような序盤だったが、我慢して(笑)観ているうちに免疫ができてしまい、中盤から終盤にかけて、どっぷりと彼らに感情移入してしまった。
 
 社会への不満、自由への疾走、将来への不安、未来への希望など、若者が熱く表現する方法の一つにラップがあるということだけで、それは尾崎でも浜省でもいいわけである。あのヤンキーちっくなファッションのニーチャンの見方がちょっと変わった。しかもラッパーは異常なまでに地元を愛している。

 「ここ、サイタマから、オレたちの、アツイ、マイソウルを、発信しているんだぜ」(ラップ調で読むとハマる)
 
 でも東京に出ることを夢見ている(笑)。矛盾しているように思えるが、ほとんどの若者の考えは矛盾している。ラッパーだけではない。私だって金もないのにTTバイク欲しいとか愛人欲しいとか言うてる。そんな矛盾をラップに乗せて、サイタマから発信しているのだ。宇宙人かよ(劇中のみひろのセリフ。気に入っている)。
 
 時間がなかったので『2』はまだ観ていないのだが、今度は女の子ラッパーのお話のようなので楽しみだ。明日は休みなのでゆっくり観てみよう。