『マスカレード・イブ』 東野圭吾 集英社

 前作の『マスカレード・ホテル』を読んで、正直、新キャラと言われるほどのキャラクター性を感じなかった新人刑事新田とホテルマン尚美だったので、続編であるこの本を買おうかどうしようか迷っていたのだが、ちょうど東京へ出張があり、新幹線の中で読むために半ば衝動的に駅の本屋で手に取ったのがこの本であった。
 
 作品の出版順としては『~ホテル』の次に『~イブ』となるわけだが、内容的には『~イブ』のほうが時間的に前になり、新田と尚美が出会う前の設定になっている。基本的な構造としては、ホテルと警察で起こる事件や問題を、新田と尚美それぞれのエピソードとして独立させた短篇集となっており、後半につれて登場人物や伏線が絡められてくるという、連ドラお決まりの手法である(笑)。
 
 「お客様の仮面(マスカレード)を剥いではならない」というホテルマンとしての使命と、「容疑者の仮面を剥いていく」という刑事の使命が相反するところがこのシリーズの面白いところではないかと思う。とはいえ、刑事に協力したい正義感に溢れた尚美は、お客様のプライベートに関することまで少し介入したりする。新田は新人刑事という役回りで、そういう尚美に対して辟易したり一目置いたりするわけである。
 
 この2人が主人公の連ドラの制作はそう遠くないであろう。それほど人物描写が映像に表現しにくいというわけでもないし、ストーリーも難解なものではない。今が旬な俳優を男女2人立てればソコソコの視聴率は得られるのではないか。この作品を読んでいるあいだは常にそんなことをアタマの片隅で考えながら読んでいた。
 
 つまり、どっぷり物語にハマってしまうような作品でもないかなというのが感想。最近の東野圭吾作品は、読みやすくて軽やかな感じになってきた。それはそれでいいのだが、『白夜行』とか『手紙』のようなしっかり読ませる作品もそろそろ期待したいのである。

CX通勤

 いまや近所の買い物か子供のスイミング引率ぐらいにしか乗らないシクロクロス車(笑)。自転車仲間に会うたびに、
 
 「今年はシクロ出ないの?」
 
 と聞かれ、「いや~、休みがないし~」などと言ってお茶を濁す日々。シクロな皆さんはそろそろ始動していて、先日のビワイチでもCX車での参加率が多かった。私も乗らないとはいえCX車のツーリング性能には一目置いているので、久しぶりに使ってみるかと思い立った次第。
 
 今日は久しぶりにCX車で通勤ライド。ちょっとしたダートロードにも入ってなかなか楽しんだ。
 
 舗装路を走るということでエアを高めに入れてみたが、やはりCX車の乗り心地をスポイルしているかのようで気持ち悪い。帰りは少しエア圧を落として走ってみようと思う。
 
 今日から長袖長裾ジャージ。住んだ空気が気持ち良い季節となった。

4

木馬ビワイチ!

 何年ぶりか忘れてしまうぐらいのビワイチ。木馬イベント参加も久しぶり。行く前には台風どうのこうのとか、子供が発熱どうのこうのがあったが、終わってみれば全て問題なし。健脚組ロングコース約180kmを無事に走破することが出来た。
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 ノーマルコースに追加された部分は湖北の奥琵琶湖パークウェイ。何年か前から西側からの一方通行になってしまい、多くのビワイチサイクリストが選ぶ左回りルートでは同じ所をもう一度走らないといけなくなった。そんな理由からサイクリストに(かどうかはわからないが少なくとも私には)敬遠されつつあった奥琵琶湖パークウェイを登ってきた。
 
 ロングコース組には厳ちゃん先生をはじめ脚の揃ったメンバーがおり、パークウェイでは抜きつ抜かれつの楽しいヒルクライムができた。下ってからはノーマルコース組を追いかける形となり、マキノ~今津区間はただひたすら下を向いて漕ぐだけのツライ区間となったが、それでも秋の鈴鹿で組むことになっている木本さんと先頭交代をしながらのプチトロバラ練習もすることができて良かった。
 
 彼はなぜかブロックタイヤのシクロクロス車での参加で、明らかにロードバイクよりしんどいであろうそのバイクでグングン前を引く姿は大変頼もしかった。鈴鹿もこの調子で引いてもらいたいものである。
 
 全ての行程がタイムスケジュールの約5分から10分ほど前倒しで進み、おかげで予定よりも早く帰宅することができ、家庭持ちサイクリストとしては嬉しいイベントとなった。のんびりしているイメージだったが、皆さんイベント慣れしたのか休憩や集合がとてもスムーズで、逆に私がアタフタしてしまうぐらいであった。30人以上の人数をここまでスムーズに動かすことのできる運営には脱帽である。
 
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 画像は厳ちゃん先生から拝借。奥琵琶湖パークウェイ頂上にて。多くのモーターサイクルライダーがおり、その一人に撮って頂いた。実は私もそろそろあっちの人になりたいのである(爆)。
 
 そうそう、最後になったけど、SWANSの山本光学さんが今回も同行して下さり、私は下の画像のサングラスをほぼ一日中お借りして走った。あいにくの曇り空だったので日差しの遮り等のテストはできなかったけど、このグラスはとても気に入った。
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 レンズが上下に大きく、フレームレスなので下ハンを握った状態でも視界にフレームが入って邪魔することがない。TTバイクでDHポジションを取るときにとても気になっていたのである。風の巻き込みもなくコンタクトが乾かないのもイイ。通勤ライドが多いので朝も夜も使えるレンズが欲しかったのである。ヘルメットと一緒にGET予定。
 
 皆さんお疲れ様でした。ありがとうございました。

2

『マスカレード・ホテル』 東野圭吾 集英社

 文庫版になったので購入(笑)。さすが売れっ子作家。次から次へと新作が出てくる。本屋を徘徊しているとハードカバー版の新作が平積みになって常に並んでいる印象がある。しかしファンであるとはいえ2000円近くする本をおいそれとは買えないので文庫になるまで待つわけだが、ハードカバー版など大きいし持ち運びに不便だし嵩張るし、あんなもん買う人なんかいるのだろうかと思ってしまう。
 
 都内で起きた連続殺人事件。死体と共に暗号メモが置かれており、それを解読すると次の殺人予告となっていた。次の殺人場所に選ばれたのは一流高級ホテル。捜査一課の刑事はホテルのスタッフに変装し潜伏捜査を行うことに。その捜査にあたる刑事の一人が新田浩介。そして新田を指導する係となったのが優秀な女性フロントスタッフや山岸尚美である。
 
 どうやらこの新田という人物が、東野作品には欠かせない「湯川学」や「加賀恭一郎」と並ぶ新しい定番キャラクターとなるようだが、先の2人の印象が強すぎてどうもキャラが弱いように感じた。同じ刑事という職業からか加賀恭一郎とどうもかぶってしまう。強いて言えば加賀恭一郎は手柄などにはあんまり興味がない庶民派であるのに対して、新田はもう少し若くて実績を得ることに貪欲なイメージ。
 
 物語の序盤は、ホテルにやって来る様々な客を相手に辟易する新田と、それを諭しながらホテルマンとしての接客を教えていく尚美のやりとりで進んでいく。しょうもない接客マニュアルよりも尚美のセリフを読んでいるほうが役に立つのではないかというぐらい、尚美の接客に対する考え方は素晴らしいと思った。同じく接客する私も学ばなければならない部分が多い。
 
 とんでもないクレームをつけてくる客、わけのわからないお願いをする客、本当に様々な客がやって来るのだが、それぞれの客との問題を新田と尚美が解決していく。それがまるで連続ドラマの1話ごとのくくりになっているかのようで、おそらく映像化されるのはそう遠くないであろうと感じた。
 
 事件は終盤に差し掛かり解決の糸口が見つかってくるのだが、序盤に現れた様々な客がしっかりと伏線になっていて、そのあたりはさすがだなと思う。ただ、事件の真相自体はそれほど驚くべきことでもなく、連続殺人をするほどの動機というのもちょっと弱い感じがした。もうちょっと濃い感じを期待していたので残念だ。
 
 続編(?)として、『マスカレード・イブ』という作品も売られている。通常ならばすぐに続編を読む私だが、他にも読みたい本があるし、またの機会でいいか。。。

そうだ、ヘルメットを買おう

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 2006年、コルナゴEXTREME-Cを駆りツール・ド・フランス山岳賞を手にしたラスムッセンのレプリカヘルメット。このヘルメットも気付けばなんと8年目である。当時鮮やかだった赤い水玉も紫外線により色あせ、あご紐もどす黒く汚れ、インナーパッドも紛失したままでかぶるたびにオデコが擦れて赤くなるという、なんとも惨めなヘルメットとなってしまった。
 
 しかし幸いこのヘルメットでの落車経験はないので、まだまだ安全性のレベルは落ちていないのかなと思う。そういう意味ではラッキーヘルメットということかもしれない。とはいえあまりにも消耗度合いが激しいのでそろそろ買い替えを検討しているのだが、なかなか自分の琴線に触れるヘルメットが発見できない。なんなら今でも全く同じヘルメットが販売されていたら迷いなくそれを選ぶであろう。もちろん自分が山岳賞レベルかどうかは差し置くのだが。
 
 オートバイが好きだったからか、レプリカヘルメットというものに反応してしまう。レースの世界ではライダー・ドライバーごとにオリジナルカラーのヘルメットだったので、それをかぶっていればその選手のファンであることが容易に判別できたものであるが、自転車レースの世界ではチームごとに分かれているのでお目当ての選手個人のもの、となればなかなか難しい。
 
 ワイン・ガードナーや、ケビン・シュワンツカラーの自転車ヘルメットがあればなあ。
 
 
 
 ※2015年7月追記・・・・ヘルメットは3年ほどで安全性が低下するそうです。本文中に個人的見解が入り誤った記載があることをお詫びして訂正します。

良い季節

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 今日は少年野球のお手伝いでクルマが必要なので自転車通勤。情けないことに自転車通勤の頻度も激減し、あ~今日もクルマに乗ってしまった・・・・とか思いながらエクスペンシブなガソリンを燃やし続ける日々である。
 
 清滝峠に差し掛かると見慣れたジャージの集団が。回転木馬の面々である。聞くところによるとマスオさんが全員のケーキを奢ってくれるとのことで集まったそうだ。20人ぐらいいてるがさすがマスオさんである。私も仕事などほっぽり出してマスオ練に付いていこうと思ったがギリギリのところでとどまった次第。
 
 しかし季節は随分進んで峠の頂上で休んでいると寒いぐらいになった。毎年夏の終わりにはセンチな気分にもなるものだが、今年はそんな暇もないぐらいだ。自転車乗りには大変良い季節で、先週も北摂方面へ走りに行ったが平日だというのにローディーが大変多い。中でも女性が急増したように思う。
 
 すれ違いざまに挨拶をしてくれるのだが、やはり女性の声で「こんにちは」などと言われると、ついついペダルを踏む脚にもコンドロイチンである(意味不明)。木馬メンバーにも私の存じ上げない女性がたくさん増えて賑やかになった。できれば回転木馬のレジスターも賑やかして欲しいと願うばかりである。

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葛藤

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 クルマやバイクが好きで選んだこの職業なので今までの人生に後悔も文句も無いのだが、やはり家族ができると自分は何のために仕事をしているんだろうというモチベーションみたいなものが揺らいでくる。自分の為に、自分の欲求を満たすためだけに仕事をしていた頃とは違い、家族全員が満足するためには、ただただ仕事に専念して金を稼いでくるだけが父親の存在意義ではないのかなという気がしてくる。
 
 この仕事を続けて約20年にもなるので、土日祝が休みでないことは既に自分の中で折り合いがついていて、今更そんなことで気持ちが揺れることなんてあるはずがないと思っていたのに、子供たちが育ってきて、ほぼ土日に行われる少年野球やソフトボール、授業参観や運動会さえも参加できないような状況が続いてくると、さすがの20年選手も心が折れそうである。
 
 今日も息子は野球の試合に朝早くから出て行った。チームの父兄はクルマを出したりチームの手伝いをしたりコーチをしたりと忙しく働いてくれている。単純に子供たちの活躍が見られないという残念感と、他の父兄に任せっきりで申し訳ないなという心痛が自分を揺り動かしている要因であろう。
 
 ただこの20年で培ってきたものは捨て難く、誇りに思っているものでもあるので、それら全てを投げ打ってまで子供のために尽力することが果たして正しいことなのかどうなのか私にはわからない。自分のキャリアがまさか足枷になるとは思ってもみなかった。
 
 まあ他にも土日に休みを取れない父兄はたくさんいらっしゃる。子供たちの活躍を人伝いに聞いている方が幸せなこともある。誰もがみんなこんな葛藤の中で人生を送っているに違いない。子供たちが健康で、学校や野球を楽しんでいるということが、パパを動かすエンジンである。
 
 
 ※画像はいつもお世話になっている宗一郎のチームメイトのお父さんのブログ『noryの都タイブログ』から頂きました。ありがとうございます。

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『ラブレス』 桜木紫乃 新潮社

 いつもの本屋に寄ったら、「ぜったいオススメ!」的な手書きPOPと共に平積みされていたので購入。雫井脩介で成功してから本屋店員の手書きPOPには素直に従うようにしている。
 
 そして結果的に今回も、大成功であった。
 
 北海道開拓時代の明治から現代にかけての3代に渡るリアルな女の生き様物語。中でも3代の真ん中にあたる百合江の生涯が全体を牽引していく。超極貧の家に生まれ育ち、アルコール依存症の両親に育てられ、強引に奉公に放り出される。奉公時代に見た旅芸人の歌に魅了されて奉公先を飛び出し、女歌手「一条鶴子」に弟子入り。明日明後日もわからない日々の生活の中で、出会う男たちや身にふりかかる災難に翻弄され続けながら生きる、正直言ってなんとも暗~いお話しである。
 
 女性作家ということもあってか全て女性目線で書かれており、この物語に出てくる男性はみなヘタレばっかりである。そんなダメ男にせいで明らかに不幸な人生を送る羽目になっているのに、自分の気持ちの中で折り合いをつけ、幸か不幸かを意識することなく強く生きようとする女の姿がとても印象に残った。
 
 何故かダメ男に惹かれる女性は存在する。ハタから見ていても「なんで?」というぐらいの男に尽くしている。親友達からなんと言われようと、自分が苦労を我慢さえすればと付いて行く。まさに、やしきたかじんの『やっぱ好きやねん』の世界である。
 
 ともあれ、暗くて重い物語であったにも関わらず一気読みであった。桜木紫乃はその後発表した『ホテルローヤル』で直木賞を獲ったそうだ。今後も注目していきたい。

涼しくなった

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 鈴鹿TTは既書の通りDNSとなった。しかしこのまま夏が終わってしまうのはなんだか寂しい。ということで、秋の鈴鹿にトロバラにエントリーすることとなった。このまましれーっとフェードアウトしてしまいそうだった今シーズンの自転車ライフに、待ったをかけてくれた仲間たちへ感謝の意を表明したい。
 
 やはりレースという目標があるとモチベーションが上がる。鈴鹿トロバラは2人一組で10周も走らないといけない。約60kmである。これはたった(?)3周のチームTTとは少し勝手が違う。イッパツのスプリント力よりも持続力であるとシロート判断し、まずはカラダを絞り込もうと昨日はLSDの旅に出てきた。
 
 お得意の宇治~天ヶ瀬ダムド平坦コースである。朝7時過ぎに出発したが走行中は暑さでうだるようなことはなく、随分涼しくなったなあと感じた。しかしとにかくカラダが重い。スムーズに速度が上がらずイライラしがちだったが、まあ腹を立ててもしょうがないのでじっくりじっくりペダリング。高くなった雲などを眺めながら90km。気持ちよかった。
 
 これぐらいの距離でロングと言ってしまうのは少々恥ずかしいが、今の私にとっては十分ロングである。走っている最中も、少しでもお腹が空いたような感じ(勘違いかもしれない)があるとすぐに補給ストップしてしまいそうになったり、どうも自分のスタミナと距離の感覚がずれてしまった感じがする。まあこういうカラダとの対話もロードバイクの醍醐味でもある。
 
 レースは11月。満足のいく走りができるように、出来る限りのことはしたい。

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鈴鹿チームTTの顛末

 会社のメンバーに急遽欠員が出てしまい、どうしても休みを取れなくなったことから、私は今年の鈴鹿チームTTをDNSすることにした。去年も3人、今年も3人となってしまい、近年4人で走ることさえ難しくなってきたが、こればかりはどうしようもないので私を除いたメンバーには頑張って欲しいと思っていた。
 
 ところが昨日のレース当日は、昼ごろからの大雨と落雷の影響でレースそのものが中止となってしまった。早々にDNSを決め込んでいた私は結果的にラッキーということにはなったが、それまで一生懸命に練習してきた他のチームのメンバーや、鈴鹿まで行くだけ行って雨の中撤収作業だけをやってきたメンバーは本当に無念であったろうと思う。
 
 今年は(というより去年の途中から)どうもテンションが上がり切らず、ダラダラとやっているうちにこの顛末である。なんだか拍子抜けである。いや、拍子抜けとは一生懸命に取り組んでいた者だけが言っていい言葉であろう。気合いの入っていない者にとっては拍子もテンポもあったものではない。
 
 鈴鹿が中止になって胸をなでおろしている自分がいる。
 
 そんな自分が嫌でしょうがない。
 
 やっぱりなんでもやるなら一生懸命にやらないといけないなと思った。一生懸命にやった上であれば結果がどうであれ(たとえレースそのものが中止になったとしても)、その結果について喜んだり腹を立てたり文句を言ったりする権利が生まれるのではと思う。
 
 
 
 今朝は早速西やんが通勤アシストを申し出てくれた。天気が微妙だったのでクルマで出勤するつもりだったのだが、こういうことでも無い限り乗らないだろうと思って久しぶりに自転車に跨った。
 
 清滝頂上では知らぬ間に秋の空気となっており、西やんと共に不完全燃焼に終わった夏を静かに見送った。