いつもの本屋に寄ったら、「ぜったいオススメ!」的な手書きPOPと共に平積みされていたので購入。雫井脩介で成功してから本屋店員の手書きPOPには素直に従うようにしている。
そして結果的に今回も、大成功であった。
北海道開拓時代の明治から現代にかけての3代に渡るリアルな女の生き様物語。中でも3代の真ん中にあたる百合江の生涯が全体を牽引していく。超極貧の家に生まれ育ち、アルコール依存症の両親に育てられ、強引に奉公に放り出される。奉公時代に見た旅芸人の歌に魅了されて奉公先を飛び出し、女歌手「一条鶴子」に弟子入り。明日明後日もわからない日々の生活の中で、出会う男たちや身にふりかかる災難に翻弄され続けながら生きる、正直言ってなんとも暗~いお話しである。
女性作家ということもあってか全て女性目線で書かれており、この物語に出てくる男性はみなヘタレばっかりである。そんなダメ男にせいで明らかに不幸な人生を送る羽目になっているのに、自分の気持ちの中で折り合いをつけ、幸か不幸かを意識することなく強く生きようとする女の姿がとても印象に残った。
何故かダメ男に惹かれる女性は存在する。ハタから見ていても「なんで?」というぐらいの男に尽くしている。親友達からなんと言われようと、自分が苦労を我慢さえすればと付いて行く。まさに、やしきたかじんの『やっぱ好きやねん』の世界である。
ともあれ、暗くて重い物語であったにも関わらず一気読みであった。桜木紫乃はその後発表した『ホテルローヤル』で直木賞を獲ったそうだ。今後も注目していきたい。
“『ラブレス』 桜木紫乃 新潮社” への2件のフィードバック
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ホテルローヤルは、休憩2,500円な感じの小説でしたよ(なんじゃそりゃ)。
ロラあにき、ようわかりませんが読んでみます(笑)