ぼくのおとうさん

 ぼくのおとうさんは、じどうしゃのせいびしをしています。だけどおとうさんは「メカニックとよべ」といいます。ぼくはどちらでもいいとおもうのですが、「せいびし」と「メカニック」はレベルがちがうそうです。うでのいいメカニックは、さぎょうふくがよごれないそうです。たしかに、おとうさんのさぎょうふくは、いつもきれいです。ぼくは、しごとをさぼっているだけかとおもっていましたが、ちがうようです。このまえおかあさんが、おなじことをおとうさんにききました。「ふくもよごれてへんし、てもきれいやし。ホンマにしごとしてんの?」
 そのあとおかあさんは、おとうさんにめちゃくちゃおこられていました。だからぼくは、きかないようにします。おとうさんがこわいからではありません。おとうさんは、うでのいいメカニックだとおもうからです。


 ぼくのおとうさんは、ぼくをまいにちおふろにいれてくれます。おとうさんが、よっぱらっていないときはたのしいのですが、よっぱらっているときはいやです。ぼくに、おゆをアタマからぶっかけるからです。おゆがめにはいったり、はなにはいったり、くちにはいったりしてくるしいのです。ぼくはおおきなこえでなくのですが、「これぐらいのことでないてたら、およがれへんぞ」といいます。ぼくはまだあるくこともできないのに、およぐのはまださきでいいとおもいます。


 ぼくのおとうさんは、ときどきおかあさんとケンカして、じてんしゃをかついでそとにでていきます。どこにいくのかしりませんが、だいたい10ぷんほどでかえってくるので、そんなにとおくにはいってないとおもいます。


 ぼくのおとうさんは、ぼくがスーパーのレジのおねえさんとなかよくしていると、かならず、よこはいりしてきます。せっかくぼくとなかよくしているのに、おとうさんがはいってくると、そこでぼくとおねえさんとのじかんがおわります。おとうさんはむかしモテたらしいですが、おねえさんのリアクションをみるかぎり、うそだとおもいます。


 ぼくのおとうさんは、ほんをよんでくれます。だけど、「あめにもまけず、かぜにもまけず」って、ぼくにはなんのことかわかりません。しかもまいにちです。さいきんおとうさんは、ほんをひらかずに、「あめにもまけず、かぜにもまけず」とよんでいきます。どうやら、あんきしてしまったようです。


 ぼくは、そんなおとうさんが、だいすきです。

空を飛ぶ夢

 占いは信じるタチではないが、これほど空を飛ぶ夢を良く見るということは、夢占いにおいて、自分の中で何か心境や運勢の変化があるのではないかとさえ思う。それほど見るのである。

 先日はハングライダーを自由に操る夢だった。離陸したいときに向かい風に向かって走ればフワリと浮き上がり、ひとたび浮き上がれば風の流れが手に取るように感じられ、翼を自由自在に操作し、そして希望のポイントへ着陸するのだ。あまりの自在さにハングライダーを担いでいる感覚が無く、自分の両腕を広げて空を飛んでいるような気がした。

 この間は、子供が乗る2個のペダルをキコキコやると進むクルマのおもちゃ(ペダルカーって言うんだっけ?)に乗り、山の斜面をガーっと下って加速をつけ、小さなジャンプ台で飛び跳ねるとそのままフワリと浮き上がり、これまた自由自在にハンドルを操って空を飛び、そしてまた山の頂上に着陸するという夢を見た。

 そして昨日、自転車に乗って空を飛んだ。普通のママチャリだったが、走りながらハンドルをグイっと引っ張るとフワリと浮き上がり、後は地面を走る時と変わらない手軽さで、大空を自由に走り回るのである。ちなみに前カゴにE.Tはいなかった。

 ホントにいい夢だ。

 しかし、いい夢ほど起きるのがイヤなわけで、嫁はいつもどおりに私を起こしてくれているのに、そんな日は不機嫌なのだ。「せっかく気持ち良く飛んでるのに」なんて言われ、嫁はいいメイワクである。そんなこんなで朝っぱらから険悪な雰囲気になり、気持ちよく出勤できないのだ。

 空を飛ぶ夢はとてもいい夢だけど、きっと「夫婦ゲンカをする」という暗示なのだと思う。

時間が欲しい

 先日、『友へ/チング』を読み終えた。そして次は『こころ』を読み始めているのだが、会社の引越しで休日を返上したり、動き回るようになった子供の動きをマークしたり、「どっか連れて行け」と言う嫁の買い物などに付き合ったり(これが一番めんどくさい)、ゆっくり本を読んでいるヒマがない。

 私は一人暮らしの経験があるが、その頃は自宅にいる間は100%自分の時間だった。休みの日には誰にも眠りを邪魔されることもなく、メシは好きなものを食べ、風呂は好きな時間に入り、自由そのものであった。

 ところが今はどうだ。夜中だというのに泣き声で起こされ、特にマズくもウマくもないメシに対して感想を求められ、ドラマが始まるからと言って先に風呂に入らされ、自由もクソもない。それに引き換えて幸せな家庭を持っている、と自分を諦めさせてはいるのだけど。

 時間を貯金できる貯金箱があればいいな、と思うのである。

 結婚・出産前に、溢れる程、掃いて捨てる程あったヒマな時間の貯金があるならば、私は今すぐにでもその貯金箱を叩き壊し、全財産を下ろすんではないだろうか。今までのヒマな時間を少しづつ貯めていたとすれば、約1年分の自由時間が私の手元にあるのではないか。もしかしたらそれ以上か。

 1年もの自由時間があれば何をするだろう。とりあえず、どこか旅行に行きたいなあ。自転車に読みかけの本だけ持って、ブラブラ行けるところまで・・・。いや、それはしんどいなあ。
 あっそうや。飛行機の免許取ろうかな。いや、それは難しいなあ。
 あっそうや。大学行こうかな。いや、1年じゃムリやなあ。
 あっそうや。ハワイに住もうかな。いや、住んでしまったら1年では帰って来れないなあ。
 あっそうや。古いミニを買って来てレストアしようかな。いや、場所が無いなあ。
 あっそうや。ログハウス建てようかな。いや、これもまた場所が無いなあ。

 ・・・・・時間の貯金の前に、お金貯めます。

休日返上

 世間は3連休だったそうだが、私は日曜、月曜と出勤だった。公園でデートしている人もいるってのに。

 まあサービス業たるもの、日曜日が出勤だとか、みんなが遊んでる間に仕事しているとか言ってスネてる場合ではないし、さすがのワガママな私でも、そんなことに対して文句を言ったりはしない。で、私は連休明けの昨日の火曜日が休みだった。

 そんな中、現在当店で行われている改装工事がいよいよ佳境に入り、2階部分が完成したので、1階部分を改装する工事が始まった。というわけで、1階にあった机や椅子やパソコンや商談テーブルやテレビや書類や金魚の水槽やなんやかんや(もちろん等身大シャラポアちゃんパネルも)を全部2階に持って上げるという、つまり店の機能をすべて2階に移動させる引越しが行われた。

 そんな大変な引越しがあるというのに、私は休日。「これはラッキー」と思っていたのだが、
 「この書類は捨ててええのか〜」とか
 「あれはどこに置いといたらええねや〜」とかしょっちゅう電話がかかってくる。休みの日に会社から電話がかかってくると休んでいる気がしない。

 「しゃ〜ないな〜」と私は休日返上で会社に行き、引越しを手伝った。しかし、通常の営業をしながらの引越しであるため、みんな引っ越しにつきっきりというわけにはいかない。当然の如くと言うか、仕方なしにと言うか、ほとんど私が片付けをしていたのだ。あ〜しんど。

 そしてまた、1階部分が出来上がると、2階に上げた机やら椅子やらパソコンやらを(全部ではないけれども)下ろさないといけない。4月8日にリニューアルオープンしても、しばらくはそれらをガタガタと動かす日々が続くだろう。

 早く落ち着いて仕事がしたいものである。

質問攻め

 先日、嫁と子供を乗せクルマを運転していたら、嫁がトナリのクルマ(インプレッサ)を見て言った。

 「あのクルマのボンネットについてるの何?」

 ターボ車に付いているインタークーラーのエアインテークを指差しているので、私はこう答えた。
 「エンジン冷やす空気取り入れ口や」 それから質問攻めである。
 「ウチのクルマにも付いてる?」
 「ついてへん」
 「なんで?」
 「なんでってターボ付いてへんから」
 「ターボって何?」
 「エンジンをパワーアップさせる装置や」
 「あんなとこ(ボンネット)に穴が開いてたら水入るやん」
 「入るなあ」
 「ええの?」
 「ええやん」
 「虫も入るやん」
 「入るなあ」
 「アカンやん」
 「アカンけど水とか虫とかが入るリスクよりも効果の方が大きいから開いてるんや」
 「じゃあターボ付いてるクルマはみんな開いてるの?」
 「そんなことない」
 「なんで?」
 「もうええわ!」

 あまりにもヒツコイのでキレてしまった。それ以降、嫁は何も聞かなくなった。

 だけど私が子供の頃、父親を同じように質問攻めにしていた。
 「(シフトレバーを指差して)これ何?」
 「(サイドブレーキを指差して)これ何?」
 「(ウインカーを出すのを見て)何やってんの?」
 そして最後には「もう〜、うるさいねん!」と言われた。そのときのショックを思い出して、嫁に対してすまない気持ちになった。だから私はターボエンジンについて詳しく教えてあげた。クルマのプロが直々に教えるのである。金を取ってもいいぐらいだが、さっきの罪滅ぼしだ。無料でレクチャーしてあげよう。

 「ターボで過給された空気は熱を持つんや。熱を持って膨張したら体積あたりの酸素量が少なくなるから燃焼効率が悪くなるんや。だからインタークーラーで冷やすんや。冷やす場所はクルマの種類によって違うからボンネットに穴が開いてるやつもあれば・・・」

 「もうええわ!!」
 「・・・・・」

 ・・・息子が私を質問攻めにするようになっても、キレないように注意します。

女のヨロコビ

 最近、なんか重たいハナシばっかりなので、今日は軽いハナシにします。

 今朝、「1週間ぶりにエンジンをかけようとしたらウンともスンともいわない」という依頼があって、現場にかけつけた。まあ結果から言うと、ルームランプの点けっ放しによる、バッテリー上がりだった。

 バッテリーをブースターでつないでエンジンをかけると、いともあっさりとエンジンが目を覚ました。そのあまりにも「いともあっさり感」に、若い女性のお客さんはえらく感動したらしく、
 「いや〜ん、スゴ〜イ」とか
 「めっちゃウレシイ〜」とか喜んでいた。
 こういうことはよくあることなので、何と言うこともなく一言挨拶してその場を後にしたのだが、帰りのクルマの中でふと思った。

 私はこの仕事を10年とちょっとやってきて、大抵の修理は出来るようになったし、クルマの(正確にはホンダ車の)メカニズムに関しては知らないことは無い。どんなに難しい症状でも診断し、修理してお金をもらう。だから今回のようなバッテリー上がりとか、パンクしたからスペアタイヤに交換するとかいう修理は、ホントに赤子の手をひねるようなもので、お金なんて請求する気にもならないし、我々でなくてもクルマのことを少し知っている人であれば誰でも簡単にできる。

 だけど、チカラの無い人やクルマに関して無知な人(特に女性)の中には、クルマが動かなくて困っている所に我々がサっとやって来て、ササっとエンジンをかけて、サササっと帰って行く(それが我々にとってはどんなに簡単な修理であろうと)。このことに対してかなり感動し、そして1万円でも2万円でも言われるがままの金額を払っても良いとさえ思っている人がいるのではないだろうか。

 私は専門学校で「人を感動させる仕事をしよう」と習った。「人を感動させる仕事」なんて、10年以上の経験を生かして、エンジンを分解しオーバーホールすることや、コンピューターを駆使してエンジンの回転数をコントロールしたりすることではなく、お客さんが本当に必要としていることを、必要としているときにタイミング良く、必要な技術で応えることなんだと思う。

 私はAV男優のような高等テクニックは持っていない。だから女性を喜ばせる(悦ばせる?)ことができるのは、クルマに関してだけなのかなあ、と思ったりもして・・・。

思い出のクルマ

 私は以前、ミニクーパーに乗っていた。私が社会人になって初めて新車で買ったクルマである。今日は、若かりし頃の私とミニとの思い出話をしようと思います。

 ホンダに勤めて2年目に買った。「ホンダ車に乗らなければいけない」という規則は当時なかったが、やはり暗黙のルールみたいのがある。そんなことおかまいなしに即決した。頭金も無い3年フルローンである。

 母親には内緒で買ったので、私がいきなりミニに乗って帰ったら、何か小言の一つでも言われるだろうなと思っていた。すると意外にも母は、驚いた様子こそ見せたものの、にこやかに「乗せて」と言った。後で聞いたら、父と母が若い頃、私や弟が産まれる前に、買おうと思っていたらしい。結局お金が無くて断念したが、私がミニに乗って帰ったときは、死んだ父が帰って来たと思ったそうだ。

 その後、クルマ好きが高じて仕事にしてしまうぐらいの私が乗っていたのだ。手間ヒマかけてチューンナップし、ドレスアップし、大切に大切にした。宝物なんて言うと子供じみているが、ホントに私の宝物だった。

 何年乗ったか思い出せない。いや、思い出そうとすれば出来るんだろうけど、月日を指折り数えるのは好きではない。私とミニの思い出は、両手の指では数え切れないぐらいにたくさんある。

 仕事は2回変わった。彼女は3回変わった。季節は何度も変わった。私も少しオトナになった。変わらないのはミニだけだった。

 ある日、お客さんの家へクルマを引き取りに行くことになった。夜も遅かったので、私のミニをお客さんの家に置き、入れ替えでお客さんのクルマに乗って帰るという段取り。その帰り道、お客さんのクルマが走行中パンクした。「めんどくせー」と思いながらスペアに交換し、次の日お客さんに電話をした。不可抗力とは言え、私が乗っているときにパンクしたのだ。一言謝っておこうと。

 すると電話の向こうのお客さんが私に、とてつもない勢いで謝ってきた。「謝るのはこっちの方です」と言ったのに、向こうは平謝りしている。ワケを聞くと、そのお客さんが昨日の夜に私のミニを乗り回し、交差点で出会い頭の事故をしたということだった。

 マンガみたいなハナシである。ヘナヘナと力無くへたり込み、怒鳴ることも、状況を詳しく聞くこともできず、信じられないようなその内容を自分なりにゆっくり噛み砕き、飲み込んだ。

 レッカーで現場に着くと、私のミニは前半分がグシャグシャに潰れ、タイヤは4輪ともあさっての方向を向き、車内のものはぶちまかれ、気に入っていたバックスキンのナルディのステアリングは血だらけだった。包帯を顔にグルグル巻きにしたお客さんと、その親とお兄さんが土下座をして謝っていた。私は何も言うことができず、変わり果てたミニを黙々とレッカーに積み込んでいた。

 事故の時間を聞くと、お客さんのクルマがパンクしたちょうど1時間後だった。私がパンクした直後にお客さんに電話をしていれば、何か変わっていたかもしれない。私はこのクルマに、いろんなところに連れて行ってもらい、いろんな経験をさせてもらい、いろんなものを変えてもらったのに、私はミニに何もしてあげられなかった。こんな姿になる前にきっと何かが出来た筈なのに、私はミニのかわいそうな運命を変えることができなかったのだ。

 帰り道、レッカー車のルームミラーに写るグシャグシャのミニを見ると涙があふれてきた。

 私はこれ以降、自分のクルマを所有していない。いや、所有できないと言った方が正しいかもしれない。今でこそS2000が欲しいとかオデッセイが欲しいとか言っているが、ホントはミニが欲しい。あの頃乗っていた赤と白のミニが欲しい。そして私の勝手な要望ではあるが、息子に受け継がせたい。

 ミニはただの「かわいいクルマ」ではない。少なくとも私の人生において、とてもとても大きなクルマである。

夫婦ゲンカ

 犬も喰わない夫婦ゲンカのハナシです。聞いてください。

昨晩のことです。風呂に入ってシャンプーを使おうとすると、シャンプーが入っていません。リンスもボディソープもです。ポンプを押しても「ブチュブチュ」と水でうすめられたモノが出てきます。3日も前からこんな調子なのです。

 私はビンボー育ちのせいか、こういうビンボっ臭いことが大嫌いです。しかし嫁は「もったいない」とか言っていつまでも使い続けようとします。シャンプー、リンス、ボディソープはもちろんのこと、ハミガキ粉、洗顔、マヨネーズ、ケチャップに至るまでギッリギリのカッスカスまで使おうとします。私は以前からずっと注意しているのですが、一向に改善されません。

 今回のシャンプーにしても3日も前から言っているのに、未だにこんな状態です。いいかげん私もアタマに来て風呂まで呼びつけて言いました。
 「ちゃんと補充しとかんかい!」 すると嫁は、
 「自分でやれや!」と言います。

 そうです。夫婦ゲンカの発端なんてこんなもんです。

 「なんやとコラー!」と私。
 「気に入らんかったら出て行けや!」と嫁。
 「お前が出て行け!」
 「嫌じゃ、お前が行け!」
 ついに怒りが頂点に来た私は、「お前とはやっとれんわ!!」とアタマも洗わずに風呂から出て、荷造りを始めました。

 「出て行くんやったら自転車で行けよ!」
 「わかっとるわい!」

 仕事の作業着、着替え、コンタクトレンズのセット・・・。「止めるんなら今のうちやぞー」と思いながら、通帳、銀行印、実印までカバンに詰め込み自転車の準備をして・・・。
 「止めるんなら今のうちやぞー」とまたココロの中で言い、ジャンバーを着込み、シューズカバーをして、ボトルに水を入れて・・・。

 嫁は私の荷造りをじっと見ていましたが、止めるつもりはないようです。ついに自転車を担いで外に出ました。暖かくなってきたとはいえ、夜中の11時を回っています。かなり寒いです。「清滝上って実家に帰るぐらい、コンビニに肉まん買いに行くぐらいのもんじゃい!」と意気込んで出たのですが、かなり寒いです。

 ・・・帰ろかな。

 そう一度考えてしまうと、さっきの硬い意志はガラガラと崩れていきます。そうやな、あれぐらいのことで怒ることもないわな。大体、オレの方が一つ年上やんけ。あんな小娘の言うこと間に受けて家を飛び出すなんて大人気無いなあ。どうせあいつも今頃反省しとるやろ。

 もうすでに清滝峠の頂上に来ていましたが、Uターンして3月の冷たい風を受けながら下って行きました。

 自宅に着きました。玄関のカギを開け、ドアを引きました。「ガタン!」なんとチェーンがかかっています。正直カチンと来ました。嫁が10センチ程の隙間からこちらをのぞき、
 「なんで帰って来たん」と言いました。
 私は謝ろうと思っていたのですが、私の帰りを待っていると思っていたのに、カギだけならともかくチェーンまでかけやがって。カチンと来ていたのです。言い返してやりました。

 「・・・パンクしたんや」

 「フッ」と嫁が鼻で笑い、チェーンが開けられました。
 部屋に入ると、7ヶ月になったばかりの息子がコチラを見て、「帰って来ると思てたで」と言わんばかりに笑っています。寝室を見ると私の布団も敷かれてありました・・・。


 どうです?独身のみなさん。結婚したくなって来ませんか?

バイオグラフ

 以前、お世話になっている自転車屋さんの店長にも同じことを話したのだけども、人生にはバイオグラフみたいなものがあって、ある一定の周期で、健康運、仕事運、恋愛運等々の上下があると思う。店長は「そんなん無いやろー」と言ったのだが、私はきっとあると思っている。

 人生も30年を越すと、誰でも少なからず「あの時は身体の調子良かったなあ」とか「あの時の仕事はしんどかったなあ」とか「あの時はモテたなあ」とか、思い返せばそういったテンションの上がり下がりがあった筈である。それら数種類の「波」の周期は時には大きく、時には細かく上下し、われわれ人間のチカラではどうしようもない、自然のパワーというか、何かそんなモノが自分を支配しているような気がするのは私だけだろうか。

 自慢ではないが、現在私のバイオグラフは結構高い位置にある。いい嫁をもらい、かわいい子供に恵まれ、仕事も順調、身体も健康、趣味も楽しい、友達たくさん、いいことずくめである。これを一言でまとめて「幸せ」と言うのだろう。

 しかしである。それは時には大きく、時には細かく上下する数種類のグラフがタマタマ全て高い位置に揃っただけで、この「幸せ」は私がどれだけ頑張っても、どうしようもない強大な自然のチカラで、きっといつか(まとめて全部ということは無いにしろ)下がっていくものだと思う。

 だから私は時々、どうしようもない不安に襲われることがある。

 幸せの終わり方なんて様々なパターンがあると思うが、例えば会社が倒産する、子供が大怪我をする、自分がガンと宣告される、友達がいなくなる・・・。そんな具体的で目に見えるものの欠如によるものだけでなく、何かの拍子にココロの芯がポキンと折れて、いままで頑張ってきた仕事が急にヤル気が出なくなってしまったり、嫁を今までのように愛することができなくなってしまうかもしれない。

 きっといつか私にもそんな瞬間がやってくるんじゃないだろうか。
 きっといつかこの幸せは終わってしまうんじゃないだろうか。

 この考え方はホントにネガティブでマイナス思考で鬱病的だと自分でもわかる。私は基本的にポジティブでプラス思考であるが、AB型の基本性能である二重人格がそうさせるのだと思う(AB型以外でもある程度の二重人格性はあると思うが)。

 こんなことを他人に話すと「大丈夫やろ」と何の根拠も無く軽く言われる(ていうかこんなこと何てアドバイスすればいいのかわからないと思う)。まあでもそんな一言でケロっと治ってしまうもんなんだけど。

 何があったというわけではない。でも、でもね。子供の寝顔を見ていると、そんなことを考えてしまう時もあるのです。

本の選び方

 ようやく『T.R.Y.』を読み終わった。読書感想文は大嫌いなので書かない。そんなモノ書いても、その内容を理解し、感動を分かち合えるのはその本を読んだことのある人だけだ。みんなが同じ本を読んで、感想文を見せ合いするのは良いと思うが、その本を読んだことがない人、もしくはこれから読もうとしている人にとっては、他人の感想文なんて読む必要性が全く無い。「読んだ記録の為に書くものだ」と言うなら、人に見せることはしなくてもよい。ましてやそれを宿題にするなんてもってのほかである。

 などと屁理屈を並べ立て、読書感想文の宿題を全くやらなかった問題児であった。

 といわけで、仕事が終わってから新しい本を探しに本屋へ行った。図書券も充分にあるし、どんな本でも買いたい放題だと意気揚々と行ったのだが、やはりどの本にするか迷ってしまう。読みたい本が決まっているわけでもなく、ヒイキにしている作家がいるわけでもなく、好きなジャンルがあるわけでもなく、ぶらぶらと本屋の中を歩き回ってしまうのだ。

 タダで手に入れた図書券があるのだから、とりあえずどんな本でもいいから手に取ってしまえば、それが出会いの第一歩になるのはわかっている。そう思って手に取ってみるのだが、背表紙に書いてあるあらすじを読んで「何か違うなあ・・・」とまた置いてしまう。いや、何が違うかもわかっていないんだけど。

 1時間近く悩んで、「もうそろそろ帰らなアカンやろ」「あんまりうろうろしてたら怪しまれるやろ」と半分ムリヤリに買ったのが、映画で話題になった『友へ/チング』と夏目漱石の『こころ』である。我ながらミーハーな選択だなあと、何故かレジでエロ本を買うときにも似たテレがあった(いや、エロ本買ったことはないんだけど)。しかしまあ、本を買うだけでこれだけ時間と労力を使わないといけないものだろうか。

 よし!いいことを思いついた!

 みなさんの「これはオススメ」という本を募集します。ただし、なんでもかんでも薦められるがまま、というのは時間的にも金銭的にもムリなので、いくつか条件を出します。
 1・・・ブックカバーに入る文庫本サイズであること。
 2・・・そんなに分厚くないもの(400ページ以下ぐらい)。
 3・・・私の趣味、仕事、興味あること、家庭環境、などを考慮してもらった上で薦められるもの。
 とまあこんな感じの条件です。「コレ絶対M君にオススメ!」という本があれば教えてください。その本を購入し、もしこれから私のお気に入りの作家、もしくはシリーズになった場合には500円分の図書券を差し上げます。

 ・・・こんなワガママ企画、無視してもらっていいですよ〜。