『サイタマノラッパー2』 脚本・監督/入江悠 主演/山田真歩 安藤サクラ他

 ようやく観た。スミオ部長にDVDを借りっぱなしだったのでなんだか胸のつかえが取れたようだ(笑)。『サイタマノイラッパー』のパート2である。舞台は群馬のこれまた片田舎。本作は女の子ラッパーが主役。群馬が舞台なので「グンマノラッパー」ということなのだが、まあそんなことはどうでもよい。
 
 解散したヒップポップグループを再結成しようと奮闘する女の子の苦悩と挫折を描いている。「さあやるぜ!キャッホー!!」というハイテンションから始まり、調子よく資金集めなどをしているがやがて仲間割れしてメンバーがバラバラ。やっぱり解散しようと諦めかけるも、最後にメンバーや「サイタマノイラッパー」からの励ましを受け沸々と湧き上がるラッパーソウルが…。というような内容。大まかには前作と何も変わらないが、登場人物が女の子というだけで、前作よりは排他的な印象を受けない。むしろ万人向けとなった。コアなファンにとっては物足りない部分かもしれないけど、コアでない私はこれでちょうど良い(笑)。
 
 物語全体に流れる主義主張やテーマを置いといてこんなことを書くのは重箱の隅をつつくようなことかもしれないけど、この映画のすごいなと思うところは、「ワンカットの長さ」である。劇中では登場人物たちがお互いの言い分をリズムに乗せラップ調にしてバトルする場面が何度かあるのだが、10分以上もカットなしで演技が続く。何回NG出したんかなあとか、セリフ(歌詞)覚えるの大変やったやろなあとか、ついついそういう部分に目が行ってしまう。
 
 前作も本作もラストシーンが必見で、10分以上のシーンの中でのヘタウマなラップと、どこのエキストラやねんぐらいの脇役たちの名(迷)演技に釘付けで、NGなんか出るわけはないのだが、スタッフの手に汗握るヒヤヒヤ感が伝わってくる。涙を流すとかそういう類ではないけど、そこには感動がある。まったくお金のかかっていなさにも感動する。これぐらいやったら自分でも撮れるんちゃうかと思わせるような親近感の中に、そういった超ド級の演技が見え隠れするので、いい意味で期待を裏切られるのだ。
 
 とにかく、スミオ部長の神推しがなければ絶対に観なかった映画。今後の私の音楽の趣味や人生に影響を与えると言うことはマッタク無いと思うけど(笑)、自分の守備範囲外のところにも秀作というものはたくさん転がっているものなんだなと感じた。まさに食わず嫌いであった。まあ進んで食べることもないが(笑)。スミオ部長、どうもありがとうございました。