毎年毎年少しづつ温暖化しているせいか、「クーラーが効かない!」という修理が増えてくる時期がどんどん早くなっている気がする。ここ最近の高気圧のせいで、もうすでにそんな修理を3件もやった。
「クーラーが効かない」ということは、「クルマが故障した!」に加えて「暑い!」というストレスがプラスされることによりイライラが倍増するものと思われ、大抵のお客さんは「お怒りモード」で来店される。
それが購入してから3年やそこらのクルマのエアコンが効かなくなってしまった日には、脳みそメーターは一気にレッドゾーンである。
本当はこんな表現をしたくはないのだが、クルマというものはとてもたくさんの部品の寄せ集めである為、部品同士の相性等でうまく作動しないものがごくまれにある。それを一般的に「アタリ」、「ハズレ」と言う。
現に同じクルマでも、10年間メンテナンス以外の修理が全く必要無いクルマと、何度も修理が必要になるクルマとがある(最近のクルマはほとんど前者)。
3年やそこらでエアコンが効かなくなるようなクルマは、残念ながら「ハズレ」である。
そして、「ハズレ」を良く引く人って必ずいる。
私はこの手の「クジ運」は良い方であった。ミニクーパーに乗っていたことがあるが、「故障が多いミニ」という一般論をくつがえすほど故障がなかった。オーバーヒートはしないし、クーラーも良く効いた。
ところが、結婚してからというもの「ハズレ」を引く回数が増えた。
本当に結婚というものは人の運命を変えるものである。
イヤ別に嫁が悪いと言っているワケではない(あるけど)。
引っ越した先のハイツのドアの建て付けが悪かったり、嫁入り道具に持ってきた10万円もする食器棚にキズがあったり、子供の為に買ったイスの溶接部分が外れかけていてグラグラだったり、先日買ったばかりの薄型テレビの液晶にキズがあったり・・・。
まあ全部無償で交換もしくは修理してくれるものばかりなので金銭的なダメージはないが、精神的ダメージは相当なものである。
だから、
「会社に同じクルマ乗ってるヤツおるけどそいつのは故障してへんやんけ!」とか、
「オレのクルマだけ欠陥品ちゃうんか!」とか、
「クルマ丸ごと交換してくれや!」と言ってくる客の気持ちが少しだけわかるようになってきたのである。
「良いメカニックはお客様の心も修理する」と本田宗一郎が言った。
そんなメカニックに早くなりたい。