散髪しました。これから寒くなるのに大丈夫かという意見もありますが、来年の夏を誰よりも早く先取りする為に、結構短くしてみました。
私は正直言って「散髪」という行為があまり好きではありませんでした。何が嫌いなのか説明しようとしてもうまく説明できないのですが、基本的に人見知りの私としては、知らない人になれなれしくしゃべりかけられるのが苦手だったのです。
中学から高校、そして20代前半の若い頃、そんな意識がとても強かった時期があって、私は「特定の散髪屋」というのを決めていませんでした。何も話しかけられることなく黙って黙々と作業してくれる散髪屋を探していたのです。
ところがどこの散髪屋に行っても、なんだかんだと話しかけて来ます。
「にいちゃん高校生?」「どこの学校?」「クラブ何やってんの?」
それらの質問は一見さんである私の年齢を探り、カット料金の設定をする為に必要な事だったのかもしれません。しかし非常に人見知りな若かりし頃の私にとって、それはものすごく苦痛だったのです。
やがてそんな私も社会人になり、恐れ多くも接客業という仕事に就いて、おぼろげながら「接客」というものがどういうものか分かって来た気がします。
「良い接客」をする為には、まずは「良いお客」にならなければいけないと思います。
お店の人がいろいろと質問してくることに対して、ムスっとしてたり、つっけんどんな応対をしていたのでは、それ以上に話題が広がることはありません。接客が人と人のコミュニケーションである以上、会話が無ければ「良い接客」なんて有り得ません。
私は「接客」と言うものを一番大切に、一番重要視しないといけない職種が「散髪屋」だと思います。あれほどお客様に近付き、そしてハサミさばきなどのハード面の技術だけでなく、トークなどのソフト面の技術も問われる職種は(風俗を除き)他には無いと思います。
そしてつまり言い替えれば、散髪屋と仲良くできるヤツは「良い接客」が出来るヤツなんではないかと思うわけであります。散髪屋に「良いお客さんだな」と思ってもらえるヤツは「良い接客」が出来るヤツなんではないかと思うわけであります。
私が現在お世話になっている散髪屋は、もう何年も利用させていただいています。
私は彼らの接客の粗探しをしているわけではありません。「タダのお客」として聞かれたことに素直に答え、疑問に思った事は素直に聞くだけです。
「何とかゴネてまけさしたろ」とか「変な事聞いてなめられたらアカンな」とか、そんなことは一切考えずに、ただ素直になるだけです。
そんな簡単な事に気付くのに10年かかりました。
良い接客をする為の教本や、先輩の有り難いお言葉も大事でしょうが、まずは普通に「良いお客さん」になるのがイチバンではないかと思います。
大仏くん、これからもよろしくね。