客商売をしているのでこんな話題がどうしても多くなる。「ゴネる客」ってのは後を絶たない。当店は都会に比べるとそんな客は少なめなのだけども、やはり定期的にやってくる。
そんな客でもポーカーフェイスを忘れずに、丁寧な接客で相手の言うことを理解しようと心を落ち着かせるのであるが、後で良く思い返してみても相手の言っていることはメチャクチャで、私の言っていることは絶対に正しい。オイル交換せずにエンジンを焼き付かせたのに、欠陥だのどうのと難クセをつけて無料で修理させようとすることのどこが正しいだろうか。「無料では修理できません」と言っている私のどこが間違っているだろうか。
まあこういうことは一例に過ぎず、「対お客さん」というパターンでなくても、明らかに常識を逸脱しているヤツに出会ったり、そんなヤツに気分を害されたりすることは日常生活の中でも良くある。
そして大抵、そんなヤツは中高年のおっさんおばはんに多い気がするのは私だけでは無いはずだ。禁煙席でタバコを吸ったり、道路にポイ捨てしたり。スーパーでビニール袋を大量に持って帰ったり、レジを通したキャベツを大きい物に交換したり。
仕事柄、安全運転の講習に行ったりすることがあるが、やはり毎回話題に出るのが、年齢を重ねるごとに衰える運動神経と反射神経のことである。歳を取ると当然カラダも脳みそも衰えてくる。「これぐらいの距離だったら渡れるだろう」と自分の身体能力の衰えに気付かず車道を横断するものだから、中高齢者の人身事故は増えるのだ。
「自分は正しい」「自分はイケてる」「自分は大丈夫や」というように自分自身を過大評価しているのである。それらがタチの悪い方向に転がった例が「非常識なおっさんおばはん(じじいばばあ)」なのではないかと思う。
つまりそういうおっさんおばはんは、「ニュートラル」がどこにあるのかわからないのである。誰から見ても異常なのに、自分自身を「中立」だと思い込んでいるのだから最悪だ。「何が正しくて何が間違っているか」という判断基準のものさしは、他人や周りの情報により常に正しく更新されていなければならないのに、いつの間にか「自分基準」で固まっているのだ。
歳を取るにつれて衰えてくるものはいろいろあると思う。そういう私も気付かない内に衰えてしまっているものがあって、他人を傷付けていることがあるかもしれない。自分でも思うことがある。「私は頑固ジジイ予備軍だ」と。
ニュートラルはどこにあるのか。自分は今ニュートラルなのか。歳を取っても中立点は見失わないようにしたい。