『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎 新潮社

 西やんと飲んでる席で「面白いから」とプレゼントされた本。私は基本的に人から薦められた本が自分に合わないとその人自体も合わないような気がして、正直「これ面白いから読んでみ」と言われても気が進まないタイプなのだが、西やんも伊坂幸太郎ファンなので(ていうか西やんに教えてもらった)、そのへんの感覚は似ていると確信してありがたく読ませていただくことにした。
 
 『動物園のエンジン』『フィッシュストーリー』『サクリファイス』『ポテチ』と、4編からなる短編集で、やはり本の表題となった『フィッシュストーリー』が一番面白かった。
 
 既に映画化されていたようで、映画では売れないバンドがストーリーのメインで進んでいくようだが、原作となった小説では、時代背景が4つに分類されており、その異なった時間軸が一つのエピソードでおしゃれに纏まっていくという感じ。バンドマンのエピソードはその一つにすぎない。なーんか同じような伊坂作品があったように思うけど忘れた。
 
 少し前に同作家の『オー!ファーザー』を読んだせいかもしれないが、父親関係の物語が続いたこともあり、ファザコンの匂いがぷんぷんする。同じ作家を好きで読み続けていると、作品作品でその作家の性格や育ちみたいなものもわかってくるような気がして、改めて作家という商売は自分を赤裸々におっぴろげる商売なんだなあと思った。
 
 全体的にはさらさらと読めて楽しい作品でした。西やんどうもありがとう。