一周まわってココ

 我々サイクリスト(すでに私自身をサイクリストのククりに入れても良いのか悩みどころではあるが)は、「どこどこを一周(周回)する」という行為が大好きである。
 
 関西圏であれば「淡路島一周」「琵琶湖一周」など馴染みのツーリングもあるし、「舞洲周回」「堺浜周回」などの比較的短い距離をひたすら周回するトレーニングもある。単純明快でわかりやすく、距離やタイムも比較しやすくて他人にも自慢しやすい、それはサイクリストだけではなくランナーなどにとっても非常にポピュラーな行為である。
 
 ただ今回はそういった目で見てわかりやすい物理的な「一周」ではなく、異なった観点からの「一周」について述べてみたい。
 
 
 先日、スリックタイヤを履かせたシクロクロス車で町内をぶらぶらしていたら、結構な速度差で見知らぬローディーに追い抜かれたのである。ヘルメットやジャージの着こなしがなんとなく板に付いていないというか、垢抜けていないというか、とにかく初心者っぽい感じで、あー最近ロードバイクを買って楽しくて乗り回してるんだろうなと、私もそんな時期があったなあと、若干上から目線でほほえましく彼のロードバイクを後ろから眺めながら考えていた。
 
 最新のフレームでホイールもディープリム。リヤブレーキが見たことも無い位置に付いている。はー、ロードバイクも進化したなあなんて思っていると、信号待ちで並んだ彼は、私のカンチブレーキのCXバイクを見て、明らかに鼻で笑ったのである。
 
 まあ、もうそんな態度に腹を立てるようなバイタリティーもモチベーションもないので、その態度についてはなんとも感じなかったが、これだけは言いたい。
 
 「オレは一周まわってコレやねん!」と。
 
 フルオーダーのクロモリバイクも乗った。フルカーボンバイクも乗った。MTBも乗ったしTTバイクもCXバイクも乗った。一通り乗って、それでコレやねん!
 
 自転車屋の店長と仲がいいし、家族ぐるみでお付き合いさせてもらってるし、そこのクルマの車検はオレがやってるし、ママチャリ取り扱ってないのにヨメが勝手に自分のママチャリの修理持って行ったりするし、もうなんやったら二周以上して、それでコレやねん!
 
 
 バイタリティーがないとか言っておきながら熱くなってしまったが、とにかくそういうことである。私はもう「一周した」のである。一周してココなのである。
 
 「一周すること」自体になんの社会的な価値も名声もないけれど、決して短時間では成し得ることのできない「一周」に、私個人的には大変意味深いものを感じているし、「一周した者」にしか見えない何かがあると信じている。
 
 人生は「行って終わり」の片道ではない。同じ失敗や過ちを何度も犯しながらの周回コースである。「人生経験が豊富」ということは決して「遠いところまで行ってしまった」わけではなく、「周回を重ねるうちに円周が広がっていった」のである。
 
 酔っ払ってオネーチャンにちょっかい出して嫌われても、ふらついてコケて擦り傷を作っても、また同じことを繰り返す。それこそが正しい人生経験の重ね方であろう。今宵も人生という名の周回コースを迷走してみたいと思う。
 
 

一周まわってココ” への6件のフィードバック

  1. 周回を重ねるのって何事でもほんま難しいですね。
    自転車はちょっちゅピットイン中かな。早くリスタートしたいモンです。
    ちょっちゅね。

  2. アニキ、私も1995年に初めてアラヤのMTBに跨ってから…
    1周したような感じの立ち位置です。
    この日記、嫁の方が先に読んでまして、
    「人のバイクを見て笑う人がいるの?」と問われまして…
    「うんうん、いるいる。そういう小さい人っ」って応えました。

    Mアニキは、鈴鹿、乗鞍、淡路、琵琶湖、キタ、ミナミ、はたまた
    何某新地が戦場なの訳で…
    街乗りで挑まれても…マイペースで良いっすよ!!

  3. Mくん、いっつもエエこと言うなー。ついでに円周率50桁ぐらいぶちかまして相手ビビらしたってください!

  4. bfzアニキ、最近はアグレッシブでキケンなローディーに近付かれたら離れるようにしてます。仲間と思われると嫌なんで(笑)。ところで長らくアニキともお会いしていないですね~。大阪に来る際は是非ご連絡くださいませ!

  5. 100周ぐらいしてるローラーあにき、ぼくはまだまだ2周目いったところらへんです。円周率はググれば出てきますのでなかなか暗記できません(笑)。

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