慌てて冬装備

 久しぶりに自転車通勤しようと先週まで着ていたウェアで表に出たら寒すぎる。慌てて冬衣装を引っ張り出して装着。ここまで季節が進んでいるとは思わなかった。やはりクルマばかりだと季節感がない。
 
 私が自宅を出発する時間はまだ日の出前である。冷たい空気が鋭利な刃物のように肌を刺してくる。もうすぐしたらフェイスマスクとかシューズカバーも必要だろうなと思う。
 
 山を登っている辺りで太陽が顔を出し、それと同時に少し空気の刃が丸くなったように感じられ、木々の匂いがしてくる。小川の流れる音や鳥のさえずりなども聞こえ始め、ここでようやく自転車との人馬一体感が出てくる。生命の目覚めと共に自分のカラダも目覚めたような感覚である。
 
 そのまましばらく自転車の気持ち良さを味わいながら進んでいると、血液が脳みその隅々まで行き渡るのか、仕事のことや家庭のことなどを考えだすようになる。今日の仕事の段取りや、家庭でのあれやこれや。ちょっとブルーな気分になったりするときもあるけど、ここまで内省的になれるのは自転車に乗っているときぐらいしかない。