スカウト

 少し前の話題だが、プロ野球のドラフト会議が行われた。高校や大学を卒業した選手が私の年齢よりも息子の年齢に近付いてくるにつれて、プロ野球選手を目指して長年頑張ってきた若者の夢が叶う瞬間というものに感動を覚えるようになり、機会があればドラフト中継なんかもよく観るようになった。
 
 そんな中、阪神・ヤクルト・広島の3球団が1位指名した大瀬良大地という投手の抽選で、広島カープの田村スカウトが引き当て、元々広島に入りたかった大瀬良投手共々大喜び・・・・、というニュースが流れた。
 
 あとで知ったことなのだが、広島カープの田村スカウトは、大瀬良投手が高校生の頃からずっと注目しており、大学時代もずっと追いかけて、絶対に自分のチームに入れるんだと何年も思い続けてきたそうだ。そんな熱意にほだされたか、大瀬良投手も広島以外でプレーすることは考えてはおらず、見事当たりくじを引いた田村スカウトは記者会見で涙ぐむというシーンもあった。
 
 私は野球は好きだけど経験がないので、若い選手がプレーしている姿のどこを見て、「この選手はすごい選手になる!」と見抜くのだろうかと不思議に思うのだが、それもプロにしかわからない眼力ということなのだろう。その眼力が本当にすごいのかそうでないのかは、これからの大瀬良投手の活躍によるところでもあるので、個人的に注目してきたいと思う。 
 
 さて、私も自動車整備というステージで20年もプロとしてやって来たので、知らず知らずのうちに自分にも「プロの眼力」というものが身についているかもしれない(いわば「プロにしかわからないホニャララ」とか「プロだからこそ見えるホニャララ」に憧れているのである)。
 
 昨今は若いサービスマンの成り手が少なく、どこの会社もサービスマンが高齢化、定年退職に伴って人数が減り、仕事が回らない・・・・という状況が増えてきた。自動車業界だけではなく、建設業界などにもその傾向があると聞く。当然我が社もその例に漏れない。最近では企業側が整備専門学校に打診し、サービスマンの卵をどんどん呼んで企業見学会や工場体験会などを積極的に行うということもあるそうだ。
 
 となれば、私も整備士歴20年の眼力を引っ提げてホンダ学園なんかに乗り込み、工具の扱いや作業の段取りなどがスムーズな“選手”何人かに眼を付け、昼飯など奢りながら、「将来はウチでやらへんか」的なスカウト活動をやってみたいなと思う今日このごろなのである。
 
 ま、私にそんな眼力があるかどうかが問題なのだが。