再読シリーズ その2

 『イリュージョン』 リチャード・バック
 
 『かもめのジョナサン』と並んで大好きな小説。再読どころか何度も読み返している。正直言って何度も読んでいる割にはあんまり理解しきれていないところがあるのだけれども、なんといっても複葉機の痛快な飛行シーンがサイコーである。
 
 ドナルド・シモダが発する言葉の中にはありがたいものがたくさんあるのだけれども、やっぱり一番好きなセリフは、
 
 「リチャード、全てはイリュージョンなんだよ」
 
 である。『かもめのジョナサン』では、ジョナサンが必死になって飛ぶ訓練をする。そこには世の中の不条理な流れに逆らって生きるかもめの姿が描かれているけど、『イリュージョン』に関しては、もっと楽に、フランクに世の中の不条理を捉え、「世の中なんてイリュージョンさ」と言い放つ、そういう“力の入ってなさ加減”が好きだ。
 
 私も仕事や家庭などで悩むことはあるけど、基本的には深く考えないタイプである。もうすぐ40になるけど、40台というのは20台30台にはできなかった、要らないものの排除や、興味のないことへの無関心が可能になり、肩に力を入れずに楽に生きられる気がしている。『イリュージョン』にはそういう“楽に行こうぜ”という雰囲気が感じられる。
 
 私も20台30台の頃はいろいろと思い悩んだし、かもめのジョナサンみたいに世の中に反発しながら自分の活路を見出したろやんけー!という鼻息の荒さもあったけど、やっぱり「世の中全てはイリュージョンなんだよ~ん♪~(´ε` )」みたいなスタンスで生きていけば、楽なんだ。
 
 みんながみんな、ドナルド・シモダやリチャードみたいに生きられたらいいなとは思う。なかなか難しいだろうけどね。まあ今20台30台の人は、せいぜい苦労してください。バラ色の40台が待ってる…ハズ(笑)。