『レイクサイド』 東野圭吾 文春文庫

 やっぱり800頁オーバーの文庫本を持ち歩くのは重い。厚さ1cmか2cmぐらいのもので持ち運びが便利な本を…と探しているうちにコレが目に留まった。以前読んだ『午前0時の忘れ物』でも湖が出てきたのでなんかの縁かなと思って。
 
 湖の畔にある別荘へ中学受験の集中合宿にやってきた4組の親子と塾の講師。なんとかして有名私立中学に合格させたい親たちは必死になって我が子をサポートするが、なにかそれ以上の結束の固さに違和感を感じる主人公。そんな中殺人事件が起こってしまうが、それすらも異常なまでの結束力で隠蔽してしまおうと力を合わせる親たち。違和感を感じながらも我が子を守るために隠蔽工作に力を貸していくが、ある秘密に気付く。
 
 都会から離れた別荘地で起こる殺人事件。主な登場人物は4組の家族。なんだかベッタベタなミステリーである。こんな場面に子供探偵やらマヌケ刑事やらが登場して「犯人はあなただ!」みたいなことになれば、某人気アニメのパクリに決定~となるところだが、そこは東野圭吾。探偵も警察も登場しない(探偵役みたいな人は登場するけど)。
 
 加熱する受験戦争への批判を織りまぜたなかなか面白い物語だった。非常にテレビドラマ的な展開で、すぐにでも映画化できそう。いやもうとっくになってるんだが。途中の隠蔽工作においてちょっと説明臭いところがあってシラケるけど、最後のどんでん返しがいかにも親バカって感じで良い。★★★★☆でした。