天気が思わしくないので自転車にも乗らず読書してばっかりな日々。まあ晴耕雨読という言葉もあるぐらいだから、有意義な毎日だということにしておく。
さて、にしやんオススメの伊坂幸太郎『砂漠』。5人の大学生が送る青春のキャンパスライフを描く。「プレジテントマン」と名付けられた通り魔とのあれこれとか、賭けボウリングでのあれこれとか、超能力のあれこれとか、連続空き巣犯とのあれこれとか、色々と大学在学中に起こる事件に巻き込まれていく。
正直言うて一件一件の事件は物語全体を揺るがすようなビッグなものではなく、厳しく言うたらしょうもないことばっかりなのだけど、登場人物5人のキャラクターが際立っているので飽きさせず、とっても爽やかである。
特に西嶋くんってヤツがぶっ飛んでて、かなり好きなキャラクターである。ていうかこれを読んで西嶋くんのことが嫌いになるやつはおらんだろう。この小説は西嶋くん無しには有り得ない。西嶋くんに笑わされ、西嶋くんに泣かされ、西嶋くんに感動する。そして、主人公の北村くんはなぜか『ノルウェイの森』のワタナベくんとかぶる。鳥瞰的に物事を見るところとか、冷静なセリフとか、そしてきっちり彼女作ったりして適度にモテてるところとか、なんか似てると思った。
小説内に登場する19・20の若者って、理路整然と物事を理解し、豊富な語彙できっちりと話すし、ボキャブラリーもとても広くて歌の歌詞とか物語の一説を引用したりする。そしてそれを利用して相手を説得したり納得させたり…。特に伊坂幸太郎作品にはそういう場面が多い。熟考を重ねて登場人物にセリフをしゃべらせるわけだから当然といえば当然だけど、実際にこれだけ話せる人間っているのだろうか。
カーっとなったときはついつい何をしゃべってるのかわからんようになるし、自分の考えを相手に伝えたいときも言葉が出てこずに「あーなんて言ったらいいかなー」ってなることが多い。アラフォーの私でもそうなるのに、ノルウェイでも砂漠でも、19歳の若者はどんな場面でも落ち着いてて、聞いてて(読んでて)惚れぼれする。これぐらいしゃべれたらゴネ客にも対応できるのになーなんてね。
まあちょっと重箱の隅をつつくようなことばっかり書いてしまったけど、とにかく学生時代の“オアシス”から、社会という“砂漠”に出るための5人の成長記のような物語です。私は大学には行かなかったし、麻雀もスプーン曲げもできないので共感できる部分は少なかったけど、カツカレーとか牛丼みたいな食べ応え満載の東野圭吾作品ばっかりではコレステロールも溜まるので、たまにはこういう野菜スープみたいな作品もおもしろいなと思う。★★★★☆でした。
“『砂漠』 伊坂幸太郎 新潮社” への2件のフィードバック
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主人公は西嶋ですね。
一日一読。自転車は休んで読書部になりましょか。
いま読書部絶賛活動中!(笑)
本屋のおねえさんに顔覚えられたわ。
話変わるけど図書券ってなくなったんやね。なんか残念。