22インチ

 宗一郎(6歳)がジイジに自転車を買ってもらった。さすがに16インチでは窮屈になっていたのでそろそろ次期戦闘機を・・・・と思っていた矢先だったのでありがたいことである。
 
 自転車屋さんにはヨメも同行したということなので、まさかとは思ったがやはり22インチの自転車を選んでいた。以前から私はカラダに合った自転車を選ぶことが、自転車操作の上達と安全運転につながると言ってきたので、16インチからステップアップするならまずは20インチだろうと思っていたのだが、ここでヨメの貧乏性が発揮されたようだ。まあジイジがお金を出してくれたので文句も言えないし、品質のしっかしりたブリヂストンサイクルを選んでいたのでヨシとする。
 
 なによりも初の変速機付きを手に入れた宗一郎は大喜びである。たった7速ではあるが、宗一郎にとってはまさに七色の変化球を操るかのように、上り坂が近づくと、
 
 「パパ!みといてや!いまから“1”にするで!」
 
 と叫び、カチカチとグリップシフトを操作して軽やかに坂を登り、下り坂になると、
 
 「よし!ここは“7”や!」と言ってスピードアップする。ママチャリでは追いつけないぐらいにスピードアップするので見ている方はとてもヒヤヒヤする。
 
 「わざわざ今から選ぶギヤを叫んでいたらレースでは勝てんぞ」と教えてやったがポカーンとしておった。まあ今のところ“1”と、“7”しか使っていないようなのでカンケーないか。7速すべてを使いこなせるようになったら、清滝最速への道を伝授してやろう。
 
 ウキウキした宗一郎が、「パパのじてんしゃはなんだんへんそく?」と聞きやがるので、
 
 「20段じゃい!」と言うてやると、目をキラキラと輝かせ、
 
 「すげー!じゃあパパ、どんなさかでものぼれるな~!」と言った。
 
 大人になってからわかればいいことはたくさんある。