変速機を妄想する

 次期戦闘機には電気仕掛けの変速機を付けようと妄想している。どこのブログを見ても、誰に聞いても、みんな決まって言う。
 
 「フロントの変速が速い」
 
 あの速さは一度味わったら手放せなくなるそうだ。確かにフロントの変速はちょっと勇気が要る。左手だけでなく、トルクを掛ける脚もちょっと気を使ったりして、普段は無意識でやってることかもしれないけど、思い返せば「ああそういや気ィ使ってるなあ」と思うことがある。それが一気に解決するというのだから素晴らしいことだと思う。
 
 例えば平地なら、アウターに入れっぱなしにしてリヤだけの変速でなんとかしようとする傾向にあるけど、インナーでスタートして速度が上がるにつれてアウターにするという、普段なら面倒くさくてやらないことが出来たりするわけだ。登りでもしかり。「インナーで登るもの」という固定概念が崩れる。アウターで登ったほうが速い斜度だって当然ある。
 
 そうなってきたら、20段階ある変速比をフルに活用することが出来るのではないだろうか。今までは言うても14段ぐらいしか使っていない。リヤが1T違うことが最低の変速比の差だと思っていたが、フロントの変速を交えることによって、0.5Tとか0.6T分ぐらいの変速比を使用することが可能だ。
 
 となると、変速レバーは2つも要らない。右手か左手一つで十分だ。自動的にフロントを交えた変速を、電気仕掛けのブラックボックスがやってくれればいいのだ。いや、変速レバーそのものも要らないだろう。BBに埋め込んだパワー測定器がライダーの馬力を常に監視し、車速と傾斜センサーからの信号を元に自動的に最適なギヤを選ぶことだって出来るだろう。
 
 ここまでくると「楽しみがない」と言われるかも知れない。でもいいのだ。スポーツカーは人間の操作する部分がわざと残されているが、レーシングカーは人間のやることを極力少なくする方向に作られている。それと同じだ。
 
 戦闘が目的の戦闘機なのだから。誰と闘うねん。