魔法

 昨日は休み。30分ほどランニングした以外は家でダラダラしていた。昼食はぶらぶらと近所の定食屋まで歩いて行って済ませた。
 
 この小さな定食屋は私が高校生の頃から利用させてもらっていて、安いし美味しいしボリュームがあって、昼時ともなれば近所の作業員や学生たちで大変賑わう。昨日もそんな人達の中で食事をしていたのだけど、おそらく休みなのは私だけで、皆さん何かしらの用事や仕事の途中でここへ来ているのだろう。さっと食べてさっと出て行く。食事中はゆっくりしたいという気持ちもあるけど、逆にわざとこういった忙しない空間の中に身を投じるというのもなんだかいい気分である。
 
 私は飲食店の厨房をボーっと眺めるのが大好きだ。この店の厨房要員は私が高校生の頃からメンバーが変わっていない。みんなそれなりに老けたが、厨房での身のこなしは昔と変わらない。まるで店員全員がテレパシーで繋がっているかのようにテキパキと無駄な動きなく鍋や包丁を振るっている。
 
 野菜炒めや焼きそばなどの料理は中ぐらいの大きさの中華鍋ひとつで作っておられる。料理のできない私からしたら、あの中華鍋には適当に材料を入れて火にかければどんな料理でもあっという間に出来上がるという魔法がかかっているかのように見える。ガスコックをひねってチャッカマンで火をつけてから消すまで、作業が流れるように進んでいく。
 
 お店の考え方にもよるけど、厨房内は不衛生なイメージがあるのであんまりお客さんには見せないようになっているところがある。私は厨房内が見渡せる方がいいと思う。自分の口の中に入れるものがどのように作られているか見たいからだ。プロが作るものをありがたく感じることができる。それが魔法によるものであれば尚更だ。
 
 厨房の人たちは特に意識すらしていないだろう。何十年も同じことを続けていて自然にそうなってしまったことを、私のようなシロートに、「魔法のようですね」と言われてもなんとも感じないに決まっている。私はお客さんの見てる前でクルマを触るとき、ついついどのように見られているか意識してしまう。「どうやこの動き。いかにもプロ!って感じするやろ~」と思ってしまう。こんなこと思ってるようではまだまだだな。
 
 我々がよく知る魔法使いは、「今から魔法使うで~。よう見とけよ~」と言ってから魔法を使う。ドラクエでもFFでも基本的なRPGに登場する魔法使いはみんなそうである。しかし、本物の魔法使いはいちいちそんなことを公表してから魔法を使うようなことはしない。本人も無意識の内にそれが魔法となっているのが本当の魔法使いだと私は思う。
 
 魔法そのものがすごいのではなくて、魔法によってもたらされる効果がすごいのだ。なんかわけのわからん文章になってしまいました。
 

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