初清滝

 今年初めて清滝峠を上った。大阪側から上るのは久しぶりだった。木馬イベントで清滝タイムトライアルが今年から始まるということなので、一足先にコースレコードを樹立しようと意気込んで行った。

 結婚する前は大阪市内から奈良まで自転車通勤をしていたので、寒い日も暑い日も雨の日も清滝峠を上っていた。人間はエライもんで1ヶ月も続けると慣れてしまう。上っている最中は確かにしんどいけど、上り終わってからの回復が早い。通勤なのであまり飛ばすことはできないが、上るだけだったら自分で言うのもなんだがけっこう速いほうだったと思う。しかも当時は変速機もフリーギヤもないピストで上っていたのである。

 僕は始めての山を上るとき、「終わらない上り坂はない!」と自分に言い聞かせ自分を励ましながら上る。先がどうなっているかわからない上り坂は精神的にツライ。
 しかし今回は自分のホームコースと言ってもいいぐらい知り尽くした清滝峠である。ペース配分もよくわかる。はじめは少しおさえながら・・・。ホテルを過ぎたあたりで少し斜度が緩くなるのでギヤを1つ重くして・・・。左カーブのイン側は斜度がキツイのでなるべくアウト側へ・・・。おっ、ここにあったタヌキの死体は片付けられとるなあ。よし、最後の直線はラストスパート!!
 1年のブランクがあるとはいえ、今では人並みのロードも手に入れた。通勤じゃないから後のことは考えなくていい。上りきったところでぶっ倒れてもかまわない。そんな気合の入った僕が走るのだ。しばらく破られることのないとんでもないレコードタイムがでるはずだ。本気でそう思っていた。

 14分6秒。ハアハア・・・どんなもんじゃいと木馬にメールしたらすぐに返信があった。「遅いんじゃ〜!!12分で走らんかい!Sチームから外すぞ!」と。文面はもうちょっと優しかったような気がするが、それぐらいのインパクトとショックだった。
 現在がショボイ奴ほど「昔はすごかったんやで〜」と話したがるが、自分のことなんだなあと冷めていくカラダとアタマがそう気付かせてくれた。