今ウチの店は改装工事をやっている。今まで平屋だったのを2階建てにするという工事。僕のシロート感覚では建物の上にポンと2階部分を乗せるだけかなと思ったのだがそうはいかないみたいで、基礎の打ち直しや階段の取り付けやらで大変なことになっている。工事中とはいえその間休業するわけにもいかないので、重機が入って駐車場が狭くなったり、店内の机を端っこに寄せたりしながらも細々と営業をしている。
この基礎の打ち直しというのがスンゴイ作業で、5〜6mはある鉄管をボーリングの特殊車両で地面にブチこんだり、ゴツイ鉄骨をクレーンで空高々と持ち上げ組み立てていく。普段見ることのない作業に思わず見とれてしまって、自分の作業の手が止まることもしばしば・・・。
それらの鉄骨たちは当店が以前からお世話になっている工事業者が図面を書いて鉄骨業者に依頼するわけで、あらかじめ寸法通りに作られたゴツイ鉄骨何十本もが正確に組み立てられていく様は、大きなプラモデルを作っているかのようでオモシロイ。
ところが先日ミスがあったらしい。基礎の鉄骨を地面に埋める際、測量のミスで30cm程図面とずれて埋めてしまった。しかも4本も。クレーンで組み立てている時に発覚したみたいで、発注した鉄骨が半分以上使えない事態に。そのおかげで基礎をやり直し、鉄骨を組み直し、工期は大幅に遅れ、金額的な損害はとてつもないものになるそうだ。
その日の晩、測量をした若い現場監督とその上司と見られる人数人が来て平謝りをしていった。おそらくその若い現場監督は会社に帰ってからこっぴどく叱られたのだろう、次の日からかなりヘコんでいて上司に怒鳴られながら測量をやり直していた。そのションボリ加減といったら、迷惑を被った客である僕らがかわいそうに思ってしまうぐらいである。
しかしだ。プロとしてその仕事をミスしたのだからそれぐらいのことは仕方がないと言える。本来はそうあるべきで、仕事をミスしてもそこまで怒られることって少なくなってきたんじゃないだろうか。僕らもクルマを直せなかったとか、約束の時間通りに作業が終わらなかったとかがあっても、あそこまで誰かに怒られることってないような気がする。だからといって適当に仕事をしてはいけないのだが、毎日同じ作業だったり少し体調が悪かったりしたら、緊張の糸は緩んでくる。人間だもの。
今回の工事業者のミス、それに対してのお詫び、そして会社みんなでミスをカバーしようという姿勢を見て、そんなことを考えさせられた。僕はよく「プロっちゅうもんはなあ〜」とえらそうに言う。「プロは仕事をミスしない、めちゃくちゃ早くて上手。それがプロっちゅうもんや!」と思っていたが、少し控えようと思う。仕事をミスしたときのリカバリーもプロの仕事の重要な一部なんだなあ思った。