ベタベタ

 昨日はベッタベタな一日だった。

 風邪をひいてからなかなか本調子にもどらない僕と嫁の為に、「栄養のあるものを」ということで嫁の実家で焼肉をしてくれた。夕方、その材料を買いに、嫁と嫁のお母さんと僕と子供の4人で京阪百貨店に行った。京阪守口市駅の構内にコムサがあって、嫁と嫁のお母さんは2人でキャッキャと子供服を見ている。それを僕は子供をダッコしながら見ていたのだけど、それがとても「ベタやな〜」と感じてしまった。

 廻りを見ると、僕らと良く似ている家族がたくさんいる。嫁とお母さんだけが盛り上がり、お父さんは子供と一緒にうろうろ〜うろうろ〜している。「これかわいいやん!お母さん見て見て!」「これちょっとかぶってみ!」「ちょっとパパ〜!これいいやん!」「とってもお似合いですよ〜」。嫁とお母さんと店員のそんなやりとりがそこらじゅうから聞こえてくる。

 僕はそれに少し嫌悪感のようなものを感じて店を出た。

 どこのコムサでもそうだが、あそこはショーウインドーのマネキンが印象的だ。よくある気取ったような顔つきのマネキンではなく、ちょっとマンガチックな感じで好感が持てる。しかもズラ〜っと同じ顔のヤツが並んでいて、特に子供のマネキンがかわいらしい。

 確かに店内に入る前にこれらを見せられると、「ウチの子供にもこの服似合うんちゃう〜ん」になると思う。なかなかやるなコムサ。

 そして店内を覗けば、その陰謀にハマったバカ家族たちがワイワイ賑っている。

 「フッ」とそんな状況を鼻で笑いながら、自分の子供が着ている服に目をやると・・・、なんとこいつ上から下までコムサやんけ〜!!コムサのマネキンを冷静に分析し、コムサの店内の状況を鼻で笑い飛ばしたヤツが、コムサの前でコムサの服着てる子供をダッコしている〜!ベッタベタやんけ〜〜!

 ここまできたら「ベッタベタ」を通り越して「さっぶさぶ」である。もう耐えられなくなって、まだキャッキャやっている嫁たちをサッサと連れて出て、サッサと京阪百貨店に入った。

 その後、京阪の中の本屋で嫁が買った子供の絵本は「ももたろう」だった。・・・ベタやな〜。