サッカー

 今日は日本対北朝鮮戦がある。多分観る。

 僕は高校時代にサッカー部のヤツに彼女をとられたことがある。それ以来サッカーが大嫌いになった。Jリーグが発足したときも全然うれしくなかったし、ドーハの悲劇なんか思わずニヤっとしてしまったものだ。

 サッカーが嫌いというよりもサッカー選手が嫌いだったかもしれない。自分はサッカーをやっている、俺はサッカー部だみたいなオーラをプンプン出そうとしている気がする。サッカー部が持っている大きなエナメルのバッグや、サッカー部が履いている靴下のデザインや、サッカー部が紅白戦の際に着る蛍光塗料のベストのようなものも嫌いだった。

 『キャプテン翼』はもちろん僕は読んでいないので詳しい内容は知らないが、それに登場した人物の誰かが、「ボールは友達」と言った。果たしてそんなこと思ってるヤツがサッカー部にいたのだろうか。「モテるんちゃうか」「あわよくばバレー部のヤツの彼女をブン取ることができるんちゃうか」としか思ってなかったはずだ。

 今思い出してもハラが立つ出来事だ。それほどカワイイ彼女だったのだ。いや、ホントにかわいかった。高校時代からの親友たちは僕の前ではサッカーのハナシをしない。酒の席では特にしない。興奮して暴れるか、泣き付かれることを知っているからだ。

 しかし僕も大人になった。今日のサッカーの試合は一応観る。そして得点が入ったら人並みに喜ぶ。あの時の彼女に未練を残していることを嫁に悟られないようにするためである。