もともと貧乏性なので、1冊の本ですら自分自身が納得できないと買うことができない。「衝動買い」なんて僕にはありえないことで、しかしある程度の度胸もないと、いい本に出会うチャンスをたくさん逃すことになっていると思う。
昨日、本屋に行った。以前にもらった図書券でも使おうかな、と思い立って行ったわけだが、特に欲しい本が決まっていたわけではないので店内を1時間以上もブラブラしていた。
最近は本屋でそういう状況になった場合、子供の絵本コーナーに行く。特に必要でないものにお金を使うとものすごく後悔してしまうが、「子供の為に使った」と自分に言い聞かせるとけっこう納得できるからだ。しかも子供の絵本にもなかなかおもしろいものが多い。
その絵本コーナーで、「かわいそうなぞう」を見つけた。
たしか小学校の頃の国語の教科書に載っていた。その物語を授業で音読するたびに先生が教壇で泣いていたのを思い出した。子供心に悲しい物語だったということは憶えているが、きっちりとは思い出せない。「動物園」、「ぞう」、「戦争」、「死ぬ」・・・。単語は出てくるがどんな流れだったろうか。先生が泣いていたということの方が印象が強い。
「題名は聞いたことがある。あらすじも大体知ってる。でも読んでない」というような本がたくさんある。そんな本を一つ一つ読んでいきたいと思うのだが、本屋に行くと忘れてしまうのだ。「あれ何だったっけな〜。まあ、今日買わなくてもいいか・・・」になることが多くて、ますます僕と本との出会いは遠ざかって行く。
「かわいそうなぞう」もそんな本の一つだったことを思い出した。ひらがなばかりの本を手にとって、パラパラとページをめくった。するとその本に描かれている絵が、小学校の頃の教科書に載っていた絵と同じような・・・。いや、多分同じだ。うわ〜なんかなつかし〜。即購入。
家に帰って子供に読み聞かせてやったが、涙がノドに詰まって全然うまく読めなかった。先生の気持ちがわかった気がした。