長く続けるコツ

 現在の仕事に就く前に転職の経験が数回ある。

 退職の理由なんて人それぞれいろんなパターンがあるだろうが、僕はほとんどの場合、会社のやり方(つまり社長のやり方)に疑問を感じて辞めるパターンだった。

 僕ならこうするだろう、なんで社長はこんなことするんだろう、こうやればもっといいのに、とイライラする毎日を送り、誰に相談しても的確な回答をしてくれる人なんていなくて、結局はそのストレスを全て自分が抱え込む。そしてとうとう退職の決意をする。

 退職するときは、自分が選んだこの選択はとても正しくて、これ以外に自分が救われる道は無いと本気で思う。「考えなおしたら?」と言われてももう遅い。「この会社は近いうちにツブれる!」「あの社長じゃダメだ!」と熱く語ってもみんな聞く耳を持ってくれなかったじゃないか。悪いけど後のことは知らないよ、と退職するのである。

 ところが僕が辞めた後もその会社は正常に機能しており、特にツブれるような気配はない。あのときの僕の信念は何だったんだろうか。あの社長ではダメだったんじゃなかったっけ。もしかしたら僕が辞めてからココロを入れ替えやがったのか。どうもそうでもないようだ。自分が辞めたところで何も変わらない会社を見ると少し悲しくなったりする。

 僕が一つの会社で働いた最長期間は約6年だ。その会社を辞める時も上記のような心境の変化があった。いままで続けてこれたのになぜこんな気持ちになってしまうのか本当に悩んだ。悩んで悩んで退職し、悩んで悩んで選んだ次の会社も結局同じような理由で退職するのである。

 一つの仕事を一つの会社で10年20年、もっと長く続けている人がたくさんいる。なぜそんなことができるのか未だによくわからない。今まで会社に対して不満を持つことってなかったんだろうか。やはり少なからず不満を持ちながらやっているんだろうか。こんな会社で楽しいんだろうか。何の為に仕事をしているんだろうか。自分は働くことに向いていないんじゃないだろうか。家庭を持って、子供を育てるっていう義務が発生したらその考え方は変わるのだろうか。今までは「自分の為に」と言って働いていたけど、「子供の為に」って気になれば続けられるのだろうか。しかし独身でも長くやっている人もいるじゃないか。

 「長く続けるコツは一生懸命やらないこと」って誰かが言ってた。それが本当だとすれば、少し残念だ。

 僕は子供がいるので、今の会社をすぐに辞めるわけにはいかない。少々嫌なことがあってもガマンし続けなければならない。だからって仕事を一生懸命やらないってのはなんか違う気がする。

 今のところ会社に不満があるわけではないのでいいのだが、そんなことを考えてしまうこともある。なぜ長く続けることができないんだろう。今の会社も長くないのか・・・。

 多分僕がワガママだからだろうな。3大欠点の2つ目である。