成長と進化

 子供はすごいスピードで成長をする。目で物を追っかけたと思うと手が出るようになり、寝返りが出来るようになったと思うとおすわりが出来るようになり、手の使い方を覚えるとテーブルを叩いたり手を叩いたりして自分の意思を伝えようとしたりする。1日ごとに新しい「技」を覚えて成長していく。

 そういう子供の成長を見ていると、日進月歩で進化を続けるASIMOを見ているみたいでおもしろい。いや、成長と進化は意味が違うので、成長する子供を「進化している」というのはおかしいが、ASIMOの進化に関しては「成長している」と言った方がしっくりくる。

 私がホンダ学園生の頃、ASIMOが一般に発表される前に特別授業でASIMO開発担当の方がやって来て、完全社外秘とクギをさされて見たのはP2(ASIMOの前身)のビデオだった。中に人間が入っているんではないかと思うぐらいの衝撃だった。そしてホンダが作るロボットだからそのうち走るはずだと思った。

 それから10年、去年の年末に発表された新型ASIMOはついに走り出した。走ると言っても人間の早歩きぐらいのスピードだが、トットットッ・・・とジョギングするロボットは世界初じゃないだろうか。

 歩行から走行、階段、手押し車、後退。人の表情を認識し主人を見分けたり、人の指差す方向と視線を認識し主人が何を求めているのかを考えたり、手を差し伸べると握手をしたりと、まさに人間の子供が成長していく過程のようだ。私は当然ASIMOの開発には携わっていないが、ホンダに勤める者として、そして子供を育てる親として、ASIMOの成長は我が事のように思える。

 4月8日にいよいよ当店がリニューアルオープンする。そのイベントに合わせてASIMOを店に呼ぼうと企画してみたが、即却下だった。ASIMOの1日レンタル料は1,575,000円(!)である。そして約1年先まで予約でいっぱいらしい・・・。