勉強したい

 自慢ではないが学生時代勉強が好きではなかった。勉強なんて何が面白いのか何の役に立つのかといつも思っていた。だからテストは欠点ギリギリの点数が多く、平均点を上回った記憶は無いに等しい。高校にはクラブをしに行くものだと思っていた。

 それでも高校をなんとか現役で卒業し専門学校に入った。専門学校での成績は高校の時とは比べものにならないぐらいによかった。学年トップの成績で卒業した(ホント)。

 専門学校での勉強は高校時代の古典や微分積分とは違って、直接将来の仕事に関わることだったという緊張感と切迫感が好成績につながったとは思うが、やはりクルマのことが好きだったからだというのが主である。好きだとするするとアタマに入ってくるものだ。そんな感じなので私はクルマのこと以外は何も知らない。

 今は社会人になって10年以上経つので、まあ普通の社会生活を送るには何の問題も無いぐらいの知識と教養はあるつもりでいる。しかし高校時代に習う一般的な学習が足りないことによる不便さを感じることはある。

 例えば本を読むとき。今は先日ここで書いた『T.R.Y.』を読んでいるが、この物語の舞台は明治44年頃の中国。その頃の中国は「清」という時代で、国に不満を募らせる革命家が日本人の詐欺師と手を組んで、なんかするというストーリーなんだけども、実際にあった事件と物語が少し関係しているので、この以前にあった日清戦争やその後の日露戦争のことなどを全く知らないとあまり面白くない。いや面白くないわけではないけれども、時代背景や革命家の心境とかがもっとわかるはずだ。歴史をきちんと勉強していれば、嫁に「日本と中国って昔戦争したん?」などと聞き、恥をかかなくても済んだのである。

 歴史だけではない。建築を勉強していればどんどん建ち並んでいく家々を見て「あれは何々構造だ」とかがわかって面白いんじゃないだろうか。そもそも生き物の中で自分で自分の家を建てないのは人間だけだ。医学をもう少し知っていれば子供が病気になったときある程度の適切な応急処置ができるだろうし、気象の知識があれば天気図を見て天気を予想できる。航空学を知っていれば飛行機に乗るときにもっと感動できるだろうし、航海学を知っていればもっと海にロマンを感じることができるだろう。天文学なら星を見てもっと宇宙に想いを馳せることができるし、経済学に長けていればホリエモンのやっていることにもっと興味を持てるだろうし、ロシア語が話せたらシャラポアちゃんとアグレッシブな恋愛をしていたかも知れない。

 全ての学問を習得することは難しいだろう。しかしクルマのことしか勉強しなかった私は、今になっていろんなことに興味を持ち始め、もっともっと勉強していればよかったなあと思うのである。

 多分私のような30代前後に同じことを考えている人が多いんじゃないだろうか。しかし日々の生活や仕事に追われ、思い通りに行かないどうしようもないジレンマに悩まされていることと思う。
 「いまさら勉強しても・・・」
 「時間無いし・・・」
 「もし子供ができたら学校なんか行ってるヒマが・・・」

 中学生、高校生の頃はみんなクラブや恋愛や友達関係で忙しいのだ。勉強なんてしている場合じゃないんだ。だから我々のように大人になってから勉強できるようなシステムを作るべきだと思う。「三十路学校」とか「おとな専門学校」とか(なんかスケベやな)。勉強なんてやる気の出てきたときにやるのが一番効率が良い。イヤイヤやってても身に付かない。

 学生諸君!勉強なんかしなくてよい!大人になり必要になってからすればいいのだ!
 そして私と同世代のみなさん!自分のスキルアップの為の時間は惜しまないようにしよう!大人の魅力の一つはボキャブラリーの広さでもある。若者には出せないフェロモンで女子高生のハートをGETしよう!

 最後にまたヘンな方向に行ってしまったが、私の言いたいことはわかってもらえたと思う(ホンマか!?)。