学園ネットワーク

 昨日の晩、高校、専門学校と同じだった友人から電話があった。彼も私と同様、ホンダでメカニックをやっている。彼はベルノ店に勤めているので、我々プリモ店しか取り扱いのない車種(軽自動車等)の修理をする際、良く私に電話をかけてきて質問をする。逆にプリモ店の私がベルノ店にしか取り扱いの無い車種(CR−Vやインテグラ等)の修理をする際には、サービスマニュアルをFAXしてもらったりする。

 ホンダ学園時代の友人が全国の販売店で働いているので、そういった情報をやりとりできることが、ホンダ学園出身者の利点のひとつとも言えるのだ。

 それを我々は「学園ネットワーク」と呼ぶ。

 その友人も「学園ネットワーク」を利用しようと会社から電話をかけてきたのだが、もうすでに時刻は9時頃。私は夕飯を食べ終わり、子供と一緒にテレビの前に座っている時間なのに、まだ仕事をしているなんて、なんて忙しい会社なんだろうか。気の毒なハナシである。

 大体そんな時間に電話をかけてきて、「ちょっとマニュアルFAXしてくれ」って言われても、ここは自宅。そんなものあるわけがない。したがって、私の知識の全てを総動員して彼の質問に答えた。

 さすがに向こうもプロだ。聞いてくる内容のレベルがその辺の客とは格段に違う。質問の内容はややこしいので詳しいことは書かないが、要するに「これやってあれやってそれもやってんけど直らへんねん。後は何が考えられる?」とのこと。

 そこまでやってダメならエンジンを下ろして分解しないといけない。少なくとも6時間以上はかかる大作業だ。夜遅くまで残業している友に残酷な宣告である。
 「まあ続きは明日にして、今日は帰りーな」と促した。
 「うん、わかった・・・」と明らかにテンションが下がっている友の声。

 昔の話しをするのは自分が歳をとったようでイヤなのだが、私がこの仕事に就いた頃は日付が変わる頃まで残業するということは良くあった。しかし今では、不景気のせいなのか田舎のディーラーということもあるのか、そんなことは全くなくなった。1時間でも残業しようものなら、次の日は5時に帰ろうかと思ってしまうぐらいである。

 そんな「ユルユルな」仕事をしていることを、友人に対して少し申し訳なく感じながら電話を切った。

 そして今朝、その友人からまた電話が鳴った。
 「おお〜、お前の言う通りにしたら直ったわ〜。ありがとう」・・・って、徹夜で仕事してたんかい!

 ・・・脱帽。