闘え!ニモ!

 嫁が『ファインディングニモ』のDVDを買ってきた。普段セコビッチのくせに「子供の為に」などというカンムリをつけると結構ホイホイとお金を使う。私が「子供の為に」と言ってクルマを買おうとした時は却下したくせに。

 私は実はこの映画があまり好きではない。いや、映画そのものが嫌いなわけではない。フルCGの技術や映像の美しさ、子供にもわかりやすいストーリー等、ヒットすべくしてヒットした作品と言える。しかし、公開後の「カクレクマノミ飼育ブーム」にハラが立ったのだ。

 この映画を観たことのある方はご存知かと思うが、人間に捕まえられたニモ(カクレクマノミ)を父親のマーリンが探しに行くという親子の愛情ストーリー。物語の中には、水槽の中に閉じ込められた魚たちが力を合わせて脱走を計画するシーンもある。

 普通の感覚を持つ人が『ファインディングニモ』を観ると、多分「水槽に飼われている魚ってかわいそう・・・」となるはずである。感受性の強い子供の中には、自分の家で飼っている金魚や熱帯魚を逃がしてしまった子もいるんじゃないだろうか。だから私はあの映画がヒットした時、町の熱帯魚屋さんは商売上がったりになるのではないかと思っていたぐらいである。

 ところが!物語の意に反してカクレクマノミブームが巻き起こる。水族館ではカクレクマノミの水槽の前に行列ができ、海水魚を淡水魚にするワザ(詳しいことは知らない)がテレビで放送され、経営が心配されていた熱帯魚屋は繁盛し、店のショーウインドーには『ファインディングニモ』のポスターが貼られるという、矛盾だらけのワケがわからない状態になってしまった。

 沖縄の美ら海水族館に行った時、カクレクマノミの水槽の前で子供を連れた母親が、
 「ホラ!ニモだよ!かわいいね〜」と子供に話し掛けていた。
 「うわ〜、かわいい!ニモ欲しい〜!」と子供が言うと、
 「そうだね〜。パパに相談してみようか〜」とそのバカ親は言ったのである。

 お前らホンマに『ニモ』観たんか!?

 私の子供には、水槽にいるカクレクマノミを見て、「かわいそう」と言える子供に育ってもらいたい。


 そんなことを思いながら子供と3人で観ていたら、嫁が言った。
 「何コレ?ニモって全然闘ってないやん」と言う。なんと、『ファイティングニモ』だと思っていたそうである。

 ここにもひとり、バカ親がいました。