息子がテーブルの角で口元を打って出血した。小さな歯だからよけいに唇の内側を切りやすい。良く見ると歯形になっている。
良くあることだからそんなに慌てはしなかったけど、それでも大きな声で泣くので抱き上げて慰めてあげた。
「かわいそうにね」「いたかったね」なんて言いながらゆらゆらしてやると、涙を流しながら眠ってしまった。
息子の痛みが私にワープするような機械があればいいのに。そしたら、口を切ったとき、ドアに指を挟んだとき、後頭部を打ったとき、いろんな痛みを私が代わりに受けてあげるのに。
病気をしたときも、いじめられたときも、失恋したときも、上司に叱られたときも。
でもそれは絶対ムリなんだな。
それらの痛みに自分で耐えて、人は成長するんだよ。きっと。
「痛み」はワープできなくても、「幸せ」はワープできると信じて、
パパは頑張るから、お前も頑張れ。