身分相応

 どれだけ妄想しても山田優が私の部屋にやって来ることが無いのと同じで、どれだけコルナゴが私のバイクタワーにかかっている所を妄想しても、ただただ虚しいだけなのでヤメておくことにする。

 それよりも今の愛車である「ケルビム号」の良い所を再確認、再認識し、さらに愛着を持って接してあげることの方がいいに決まっている。それが「正しい妄想」であって、身分不相応の物を欲しがって現実を忘れてしまうようでは本当の妄想では無い。あわよくばそれを手に入れたとしても、使いこなせなければ全く意味が無い。コルナゴを手に入れても自分が遅ければ恥の上塗りだし、山田優が私のベッドにいないことよりも、本当にベッドインして「モノも時間も短い!」と言われることの方がツライ。

 だから私は「ケルビム号」の良い所をここに書き出す。これはケルビムをみなさんにオススメする営業でもなければケルビム乗りを集めたいわけでもない。今後私が身分不相応の自転車を欲した時にここを読み返し、原点に戻る手助けになれば良いと思って書くだけのことである。

 「しなやかさ」・・・フレームが上手にしなってくれるので、重いギヤを踏み込んだ時、反対の足がスムーズに上死点に上がって来る感じがする。立ち漕ぎがスゴイ楽で、特に下りの勢いで短い坂を駆け上がる時のスタンディングが気持ちイイ。

 「コーナーの安定性」・・・下りのカーブで恐い思いをしたことが無い。思ったラインを本当にキレイにトレースしてくれて、例えば清滝の下りみたいに減速帯がある道路でも何も恐くない。タイヤのグリップ力が上がったみたいな感じで、ひらりひらりと切り返すことができる。

 「美しい」・・・特にバックステーの細さと曲げが非常に繊細かつ微妙で、それでいて力強さを感じる。サラブレッドの脚のよう。ななめ後ろから眺めていると飽きない。

 こんなにイイ自転車を所有しておきながら90万円もする自転車が欲しいとは我ながらバカげていた。もう浮気はしません。許して下さい。

 でも宝くじ当たったら・・・、ねっ!