北摂LOVE

 北摂方面はイイ。
 
 大阪市内で暮らし、奈良方面へ仕事に出かける私としては、やはりどう考えても生駒山系とは切っても切れない関係である。清滝峠や十三峠などは生駒山系をホームコースとするサイクリストにはメジャーな峠であり、さらには暗峠などというとんでもない斜度の坂道まであり、ハナシのネタには事欠かない山脈である。
 
 そんなネタ集めに翻弄する言わば“色モノ”好きローディーが集まる生駒山系とは一線を画し、比較的斜度が緩く距離を長く取ることのできる北摂方面は、本格派ローディーの集まる聖地であり、生駒山系で育った私としてはどうしてもアウェイ感があった。
 
 しかし休みの日にゆっくりライドでもしようかとサドルに跨る際、いつも通勤している生駒山系ではつまらないので、ちょっと趣向を変えて久しぶりに北摂方面にでも行ってみるかとなる。
 
 そういう気分のときは、上下揃いの柔軟剤の香るキレイなジャージに身を包み、北摂方面の本格派ローディーに出会っても恥ずかしくないないような、つまり「あ、こいつは生駒山系やな」というのがバレないような格好をするのである。
 
 自宅からせっせと北上し、勝尾寺を登って高山公民館前。さらに北上して豊能町役場を右に曲がって茨木市まで一気に下るという40マイルちょっとのコースは、まるで上質なワインを楽しむように、強すぎず、物足らなさすぎず、芳醇な柔軟剤の香りとともに、ローディーとしてのレベルが一つも二つも上がったような感覚であった。
 
 これからは、北摂もホームコースとして、勝手に愛していきたいと思う。