哀愁の旧道

 大阪と生駒を通るR163の清滝トンネルは数ヶ月前から大規模な工事が行われており、従来のトンネルの横にもう1本トンネルが掘られ、おそらく片側2車線のトンネルが2本開通することになっている。平日の朝晩など慢性化していた渋滞が解消されればいいなと思うが、私は通勤にはR163のトンネルを使うことはなく、その上をクネクネと通る清滝峠を走るので、その恩恵に与ることができるかどうかは不明である。
 
 ずいぶん昔、それこそ私がまだ運転免許など持っていなかったころは、R163と言えば清滝峠のことを指し、その後トンネルが掘られて現在のR163となった。それ以来清滝峠は「旧163」と呼ばれ、その旧163をメインの通勤ルートとして利用している私にとって、地面の下にどれほどの「新163」が完成しようがあまり関係のない話だが、ここのところトンネル工事が進むに連れて何故か旧163が渋滞するようになってきて辟易している。
 
 私は勝手に、「トンネルがもう1本掘られ、交通量が2倍になる」と思っていたのだが、先日ちょっと工事の途中経過を見たくなって遠回り通勤になることを承知でわざとトンネルをくぐってみた。すると単純な「トンネル増設」ではなくて、トンネルを抜けたところに新たな大きな道路が建設され、おそらく全ての工事が完了すると、ボーっと走ってると一気に枚方の方まで行っちゃって、なんやったら第2京阪にまで繋がるのではなかろうかというぐらいの大きな規模の工事であることがわかった。つまり現在のR163はすでに旧道化し、現在旧道である清滝峠は「旧旧道」になるわけだ。
 
 「新163」が工事中で中途半端なところまでしか開通していなく、今まで通りの「旧163」に合流するためには、「旧旧163」を通らなければいけないという、一時的に“変な”ことになっているわけである。それで旧旧163である清滝峠が渋滞するのだ。まあそれも新163が完成するまでの我慢である。これで国道163号線は3世代に渡って大阪と生駒を結ぶ立派な国道に生まれ変わる。積雪や大雨ですぐに通行止めになってしまうお隣の阪奈道路など走り屋ぐらいしか利用しないのではないだろうか。
 
 どんな道路工事もそうだが、新道が開通すると今まで利用していた旧道がやたらと過疎化し、一気に古びた印象になってしまう現象が起こる。しかし国道163号線に関しては、旧道も、旧旧道も、未だに現役で我々の通勤ルートとして頑張ってくれている。