『キリン』 山田悠介 角川文庫

 仕事の関係でちょっと長めの電車移動することがあって、駅の本屋で衝動的に買った本。この人の作品を読むのは初めて。誰なのかも知らないしどんな代表作品があるのかも知らない。プロフィールを見ると1981年生まれとある。私より8歳も年下で32歳である。プロ野球選手もほとんど私より年下になってしまった今、そんなことで違和感を感じること自体おかしいことなのだが、小説家も年下になってしまうか~というなんだか寂しい気持ちで手に取った。
 
 いや別に、自分より年下が書いたからというわけではないのだろうが、正直ツマラン。天才精子バンクで優秀な天才数学者と、ノーベル賞受賞者の精子を高額で落札した皆川厚子から物語は始まる。長男の出産、異常なまでの教育、厚子を取り巻く環境、次男の出産、次男は出来が悪い、平気で捨てる、施設行き、天才精子バンクの秘密・・・・。
 
 なんの盛り上がりもなく、なんのどんでん返しもなく、ただ淡々と頁が進んでいくだけの印象。今回は自分が電車に乗ってまとまった時間があったからなんとか読了したが、家事育児の合間では絶対に読み切れていないだろう。それぐらい面白くない。ごめんファンの人。
 
 実は先の『夜行観覧車』を読み終わってその感想文を書く前にこれを読み始めてしまったので、面白かった『夜行観覧車』の思い出までもが消え去りそうになってしまい、『キリン』を読了してからまた『夜行観覧車』を読み直したぐらいである。口直しみたいなもん。この本を平積みして売り込もうとしていた駅の本屋に悪意を感じるぐらい(笑)。