エンジンの話とか

 長文でございます。急いで読む必要はありませんので、ヒマな時に酒でも飲みながら読んでいただけると幸いです。


 こう見えても一応自動車整備士の国家資格は持っておりまして、その為の勉強は人一倍やったと自負しておる次第であります。日々の業務に自動車工学の知識をフル活用しているかどうかはさて置きますが、意外にもその知識が自転車にも応用出来ることがあるので、サドルにまたがっているヒマな時間であれこれ考えるのにちょうど良かったりします。

 やっぱりクルマも自転車もエンジンが肝心でございます。フェラーリのボディに軽トラのエンジンを積んでも速くなりません。それなら軽トラのボディに軽トラのエンジンを積む方がかえって速いです。私のような貧脚がコルナゴ最高級モデルに乗ることはつまり・・・、以下省略しますが、そんなことは国家資格を持っていなくてもわかることです。せっかくなので「国家資格を持ってるヤツっぽい」ことを書いてみようと思います。

 「エンジンパワーを上げるにはどうすればよいか」という課題をやった記憶がございます。その方法には何通りかがありまして、
1・・・排気量を上げる。
2・・・回転数を上げる。
3・・・過給器を付ける。
 だったように記憶しております。なんせ10年以上前に習った事でございますので、厳しいツッコミは無用でお願い致します。

 1と3は実は同じことであります。2000ccのエンジンに過給器(ターボとかスーパーチャージャーとか)を使ってより多くのエアを送り込むことによって2200ccとか2300cc(場合によってはそれ以上)のパワーを出そうとしておるわけです。2についてははそのままであります。エンジンの回転数を増やせばそれだけパワーは上がります。その為にショートストロークにしたり、フリクションロスを抑えたりしてるのです。

 私は自他共に認めるホンダ党でございます。学校もホンダ、仕事もホンダ、息子の名前も宗一郎であります。ホンダのエンジンに惚れ込んだ多くのDQNの一人であります。ホンダのエンジンは、某外国製エンジンのように無闇ヤタラと排気量を上げるのでもなく、某国産エンジンのように過給器を二つも三つも付けるというのでもありません。フリクションロスを最低限に抑え、それ専用のエンジンオイルも開発し、純粋にエンジンの回転数を上げることによってエンジンパワーを得ているのでございます。

 それはある意味非効率なことかもしれません。もっと簡単にパワーを得る方法はあります。しかしそれがホンダの信念なのでございます。F1をはじめ様々なレースシーンにおいて、一番速くて信頼のおけるエンジンは何かということを知り尽くした故の選択なのであります。

 さて、自転車の話に移ります。

 自転車のエンジン、つまり「自分」のパワーを上げようと皆様日々努力、試行錯誤されております。私もそんなDQN、あっイヤ、自転車愛好家の一人であります。「自分のエンジンパワーを上げるにはどうしたらよいか」という命題を、先程のクルマのエンジンの話に置き換えて考えてみますれば、上記の3通りの方法のうち、どれが一番適当でありますでしょうか。

 排気量はそう簡単に上がってくれません。人間で言うと肺活量に相当するかと思われますが、トレーニングである程度のアップは望めます。しかしその為には気の遠くなるような地道で退屈なトレーニングが必要ですし、口や鼻の穴に小型の扇風機のような物を付けて過給器のマネをすることも出来ません。なんと言っても「ホンダ的」ではありません。やはりホンダ党は「回転数を上げる」ことでエンジンパワーを得るべきではないかと思っております。

 そうであります。多くのサイクリストの皆様が既にお気付きの通り、「ペダル回転数を上げる」ことがエンジンパワーのアップにつながる最も簡単かつシンプルかつスマートであり、隣を走るライバルよりも前に出ることを可能にしてくれるのであります。

 その為には「普段より高回転に慣れておく」つまり「ローギヤダウンヒル等のトレーニングをする」のは当然ですが、自動車整備士国家資格所有者と致しましては、各部のフリクションロスを最低限に抑えることが最重要であると考えます。自転車における機械的ロスはざっと思い浮かぶだけでも「車輪」「クランク」「ギヤ」等がございますが、一番のロスはやはり「チェーン」でありますでしょう。

 サビサビのチェーンをギシギシ言わせて走っている古いMTBなんかを街中で良く見かけますが、アレはホンダ党にとって見るに耐えないものであります。タマにそんな自転車でメチャクチャ速いヤツがいますが、恐らくその人はホンダ党ではありません。鼻の穴を覗いたら、きっと過給器が付いていることでしょう。

 「チェーン」はエンジンパワーのアップにおいて最重要パーツであります。これを定期的に交換し、常にベストな状態を保ち続けることが出来るサイクリストのみ、本来のエンジンの力を余すことなく発揮出来るのであります。

 エンジンパワーアップの為に、今からチェーンを交換したいと思います。



 余談ではございますが、これから子供たちが大きく成長してくることにより、我が家計は苦しくなること必至であります。3000円しないチェーンを購入するためだけに、これだけの論文を嫁に提出しなければいけない日も遠くないことでしょう・・・。