私のような修理メインの仕事を長く続けていると、何か全く新しいものを開発したり研究したりする仕事に憧れることがある。「これが完成したら世のため人のためになるぞー」と、きっと意欲満々で仕事をしてらっしゃるだろうから(そうであってくれ)、我々のようにいろんな使い方をされてズタボロにされたものをズタボロになりながら修理しているのとでは、モチベーションからして違うのだろうなと、そんな妄想に耽ったりする。
そんな話を友人にしたら、イヤ違うでMくん、研究開発するだけがエライんとちゃうで、ユーザーの声を間近で聞いてるキミらがおってこそ商品ってのは完成していくんやで、と、酒の席でそんなフォローをしてくれたもんだから少し目頭が熱くなったりもしたのだけど。
先日からハイブリッドカーのインサイトっていうクルマの難修理が入っていて、いろいろとマニュアルを引っ張り出してきて新機種講習でやったことを復習しているのだけど、このクルマ、ハイブリッドなんていう最新技術を積んでいると思いきや、発表されてからもう8年も経つ。
メーカー側の人間といろいろと相談しながら修理しているわけだが、この作業がハイブリッドという技術を成長させ完成させ熟成させているのだとすれば、最新技術ってのは世に発表されてから完成するまでに8年もかかるんかい、と突っ込みを入れたくなってくる。
最新技術を完成させる技術者の一員となっていると思えば気分も良いが、感電防止の分厚いゴム手袋での作業は全くはかどらない。