暑かった鈴鹿チームTT

 鈴鹿はめちゃくちゃ暑かった。太陽が肌を焼くじりじりという音が聞こえてきそうなぐらいである。さらにアスファルトからの照り返しが加わり、鈴鹿サーキットはオーブントースターのようだった(例えがイマイチやな)。
 
 スタートを待っている間4人で練習してきたことを確認する。どうやらこのままいけば4人揃ってスタートラインには並べそう。第1段階の目標は達成である。3チームが横に並んで10秒おきにスタート。115番目の我々はトップがスタートしてから約5分ほどで順番が回ってきた。笛の合図でスタート!
 
 落ち着いてクリートを嵌め、さあイクぞ!ローテの順番はNAM君→自分→鈴ヒロさん→モダンさん。NAM君に「着いたよ!」と報告し、いよいよチームTTが始まった。ところがなぜかNAM君インナーにチェーンが落ちる・・・・。すぐに自分が前に出て、シケイン手前まで引く。
 
 シケイン手前で鈴ヒロさんが先頭に。私は一番後ろに下がって最後尾に着ける・・・・。ところがなかなか着けない!思いがけないスタートダッシュとホームストレートの登りのせいで完全に心臓と脚がびっくりしてしまって苦しい。ヤバイ!切れる!こんなとこで切れたら恥ずかしい!「ちょっと・・・・待って・・・・!」と声にならない声をあげながら必死で追いつく。
 
 半周ほどで気持ちが落ち着く。イヤ、心臓と脚は全然落ち着いてないが、脳ミソに酸素が行きだすようになると周りが見える。他のチームもたくさん混走してて結構危ない。サーキットを走るとなぜか「アウトインアウト」をしがち。遅いチームをイン側から抜かそうとするときはかなりの注意が必要である。「右から抜きます!」と叫んで抜かさせてもらう。
 
 バックストレートを過ぎ、スプーンカーブにさしかかる。ここは少し登り。ここで先頭だったモダンさんが前のチームをゴボウ抜きにかかる。「無理するな!(のようなこと)」と叫んだ。聞こえたかどうかはわからないが、結局ゴボウ抜きはできなかった。良かった。あのまま行かれたら切れるかも知れなかった。
 
 そう、レースの間中ずっと切れる怖さに苛まれ続けていた。自分以外の人は余裕があるように見えてしまう。自分以外の人が先頭に出るたびにペースが上がるんちゃうかとビビる。ついつい「ちょっとペース落として!」とか「待って!」とかネガティブな発言ばっかりになってしまう。
 
 それにしても暑い。DHポジションで構えていると顔の周りに熱気が篭る。水をかけて冷却しながら走る。
 
 ホームストレートに帰って来て、長い登り坂を登る。ピットロードから木馬メンバーの応援が聞こえる。とても心強い。でも手を降る余裕はナシ。ただただシケインに向けて斜度を上げる登り坂と闘うだけである。シケインを登り切ったらあとは全部下り坂かと思うぐらいあの登りはツラかった。
 
 水色のジャージを着たチームが我々の前を走っていて、抜かそうかどうしようか、微妙なペースだった。抜こうと思えば抜けたけど、抜いたら抜いたで苦しさ倍増するだろう。どうも勇気が出ない。そうこうしている内にジワジワと離れていってしまう。2周目のデグナーからダンロップコーナーの付近で木馬女子給食部を抜く。4人揃って割烹着。周りの声援を受けながら楽しそうに走っておる。なんやこの差は。苦しい!苦しいぞ!
 
 S字カーブの下りで回復をはかるが、向かい風?横風?がキツくて油断できない。下り坂で休憩しようなんて甘い考えは捨てた方がいいみたいだ。結局回復もままならず、3回目のホームストレートの登りへ突入。
 
 もう限界・・・・。鈴ヒロさんが先頭だったが、切れてしまう可能性があったので早めに交代してもらって先頭に出させてもらう。ここは自分のペースで走らせて!でもこんなんアカンねやろうな。しんどい者は後ろに下がるべきなのに先頭に出て全体のペースを落とそうとするなんて。まだまだやなあ。
 
 自分も苦しいが、モダンさんも苦しそう。しばらく着き位置のまま回復してもらう。「絶対4人でゴールしよう!」「ゴールまで連れて行って!」。そんなことを叫びながら走った。
 
 ああ、もうこの辺の記憶が無いなあ。そういやNAM君が「これで最後だ!ゴールまでモガキ倒すぞ!(みたいなこと)」を言ってくれた。それで最後のスイッチが入った。安全装置を取り外す。
 
 S字コーナーを下り、最終コーナーを立ち上がる。この時自分は最後尾だったと思う。
 
 DHバーが折れるかというぐらいに握り締め、最後尾から捲る!
 
 思ったより伸びる!
 
 一気に先頭に躍り出る!
 
 どこや!?どこがゴールや!?どこまでモガイたらええんや~~~~!!
 
 
 気が付いたらゴールしていた。
 
 なんにも見ていなかった。視覚神経が麻痺していたのか、ただ単に目をつぶっていたのかわからない。とにかく吐きそうになるのをおさえ切れない。後ろを振り向くとチームメイトがゴール方向へ戻って行くのが見えた。
 
 んん?
 
 モダンさん倒れてる?
 
 すぐに自分も戻り、状況を確認。どうやらゴール直後にヘロヘロになった他チームの人と絡んで落車してしまったようだ。ホイールのスポークが飛んでいる。怪我は擦りむいただけのようなのでひとまず安心。モダンさんが落車したなんて全然気がつかなかった。
 
 4人でフラフラとコース脇の草むらを歩く。壊れた自転車を抱えながら。
 
 ピットロードが騒がしくなったので見てみると木馬女子給食部がゴールしたようで、ハイタッチとかしながら声援を受けていた。「光と影やな・・・・」なんて笑いながら歩いた。楽しかったな。
 
 
 今年の夏も暑かった。みんなありがとう。
 
 

暑かった鈴鹿チームTT” への13件のフィードバック

  1. 熱い熱いレポート、暑さが伝わってきました。
    血管切れずに何よりでしたね。

    来年は男子もコスプレして下さいね。

  2. ホームストレートを疾走する4人を見ていたら
    熱いものが込みあげてきましたよ。正直、感動しました。
    おつかれさまでした(^^)

  3. お疲れ様でした。
    落者された方軽い怪我ですんで良かったです。

    ホームストレートで先頭引くM君さんかっこ良かったです(鬼の形相でしたが)
    それ見て来年はわたしもチームTT出たくなりました。(感動)

  4. ●みーこアニキ
    ゴブサタです。ホンマに暑くて熱かったです。血管は何本か切れたと思います(笑)。コスプレどうしようかな~。給食部とは目指す方向が違うので(笑)。

  5. ●りゅう吉さん
    いやいや今回の鈴鹿はりゅう吉さんが頑張ってくれたからこそです。
    後から来て荷物置かせてもらって片付けもせんとさっさと帰ってすんませんでした~。
    来年は3チームぐらい作りましょう!

  6. いやー。とにかく楽しかった!
    苦しかったけど、楽しかった!
    たった3周の間にいろんなことがあったなー
    また出たいな!

  7. ●岩田2号さん
    スタート前に声かけてくれてありがとうございました。ああいう場で知り合いと言葉を交わすのは嬉しいもんですね。クラス優勝おめでとうございます。さすがです。ライバルが増えるのでチームTTには出ないでください(笑)。

  8. ●鈴ひろさん
    いや~楽しかったね~。
    あんだけフルモガキしたんは何年ぶりやろか?いやもしかしたら初めてかもしれん。
    水曜朝練の成果はきちんと発揮できたと思います。
    なにより4人の親密さがアップしたのが一番大きかった。
    ほんとチームメイトには感謝感謝ですわ。

  9. ほんまにエエ思い出できたね~。夏はええわ。
    ホイール直して肉練行こう!

  10. 本番もやけど、練習おもしろかったですね。
    水曜朝錬たまにやってもエエかな。

  11. そうやね~。水曜朝練も含めて鈴鹿TTはおもしろかった。
    今年の夏は青春させてもろたわ(笑)。

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