OSAKA TOIN

 昨日の仕事帰り、いつものように阪奈頂上のファミリーマートに寄りファミチキを買おうと入店したら、屈強な丸坊主男子が大量におる。30人以上はおる。弱小な共学校出身のワタクシでなくともビビる。みんな揃いのTシャツを着ており、背中にはデカデカと「OSAKA TOIN」と書かれている。
 
 この時期なのかどうかは定かでないが、おそらく大阪桐蔭高校の野球部が合宿かなんかの買出しに来ているのであろう。全員の手には買い物カゴがぶらさがっており、1Lの100円ジュースだの食料だのが満載してある。当然レジも長蛇の列。ファミチキしか買わない私は手ぶらでその列に並ぶ。
 
 特に急いでいるワケでもないのでじっくりと彼らを観察していたが、首から胸にかけての胴体の分厚さが弱小共学男子とは明らかに違う。こいつらが投げた球はきっと速いだろうし、打った打球はそら遠いとこまで飛ぶだろう。毎日毎日厳しい練習で走り回ってるんやろな。メシもごっつ一杯食うんやろな。
 
 そんなことを考えながら並んでいると、部員の一人が私に気が付き、「どうぞ先に行って下さい!」と順番を譲ってくれた。その声を聞いた他の部員もいっせいに私の方に振り返り、バッサー!とまるでモーゼのなんとかのようにレジまでの道がひらけたのである。
 
 「イヤ、別に急いでないからエエよ」と言うのだが、「いえっ!大丈夫です!どうぞ!」と言って譲ってくれる。あんまり断るのもアレなんでありがとうと言って先にレジに進ませてもらった。おっさんは激しく感動した。こんな小さな親切で目頭が熱くなるほど感動するなんて脳ミソのどっかがおかしいんちゃうかと思われるかもしれないがとっても感動した。この時ファミチキしか買わない自分がとてつもなく恥ずかしかったが。
 
 しっかし、後ろから見てたら屈強な男子だったのだが、みんなこっちを見たら眉毛はきっちり揃えてあるし、意外と肌はきれいでつやつやしてるし、なんちゅうても顔がオボコい。みんななんてカワイイんや!もし大量に現金を持ってて、乗ってるクルマもライフじゃなくてマイクロバスかなんかだったら、そこにいた全員を焼肉に連れて行ってあげたいぐらいだ。
 
 
 
 ホクホクしたイイ気分で帰宅し、このことをヨメに話そうと思ったのだが、どうせ「あんた晩ご飯前になんでコンビニなんか寄るんよ」とか「そんなんやから晩ご飯残すんやろ」とか「小遣いない言うくせに買い食いはするんやな」とか言うに決まってると思ったので黙っておいた。せっかくのイイ気分も台無しである。会話の先が想像できるので会話する気にもならん。こうやって夫婦間の会話は減っていくのである。高校生に戻りたいぜ。