淡路島

 もうすぐ回転木馬イベントの「淡路島1周ツーリング」がある。個人的には「琵琶湖1周」より「淡路島1周」の方が好きだ。

 僕と淡路島の関係はとても深い。モノゴコロついた頃から月に2回は魚釣りなどで連れて行かれた。当時は明石海峡大橋などなかったので、淡路島に渡るためには必ず船を利用した。

 船はいい。飛行機よりも船の方がなんかワクワクしてくる。船に乗ると海で世界がつながっているのを実感できる。水平線を見ながら「この海の向こうには自分の知らない世界があって、知らない人たちが生活しているんだろうな。そしてその人たちもこっちを見て同じことを考えていたらおもしろいな」と子供心にそう思ったものだ。

 明石海峡大橋が完成し、サッカーW杯でイングランドチームがやって来た頃から淡路島は様変わりしていったように思う。あの田舎臭いような感じがなくなってしまった。橋の麓にスーパー銭湯ができ、イングランドの丘ができ、たくさんあった船着場は少なくなり、発電用の風車が建ち、活断層の記念館ができ、そこらじゅうに転がり浮かんでいたタマネギがなくなり、めちゃくちゃたくさんいたフナムシがいなくなった。

 子供の頃よく泊まっていたあの旅館のおばあちゃんは僕のことを覚えているだろうか。放し飼いの犬に追いかけられた砂浜はまだあるのだろうか。テトラポットの隙間で秘密基地を作った。キャンプ場で花火をした。

 大人になってからもよく行く。何周したか数え切れないし、誰と行ったかなんてあんまり憶えていない。だけどそんなことはどうでもよく、そこに淡路島があり、ここに僕の思い出がある。それだけでいい。