自転車で私は良く163号線を利用する。163号線だけではないが、信号や交通量の都合によって、何度も同じクルマと交差点で並ぶことがある。スタートダッシュは当然クルマの方が速いので、あっという間に見えなくなってしまうのに、交差点まで来るとさっきのクルマが信号待ちをしている為に追いついてしまう。
仕事からの帰宅途中にちょうどそんな状況になり、私とボロい軽の箱バンが結構長い時間、抜かされては追いつき、抜いては追いつかれということを繰り返していた。
自転車に乗っていると良くあることなので、私はそのことに対して特に何も気にしていなかったのだが、箱バンの方はイライラしていたようだ。信号が青になる度に、「ギョイィィィーーン!」という高回転のエンジン音を残し加速していく。運転手はコチラをチラ見したりして、明らかに意識している。
試験場の交差点の信号が青になった。いつものごとく、その箱バンはけたたましいエンジン音を上げて猛烈に加速して行った。いいかげん運転手もアタマに来ていたのだと思われる。そしてちょうどケンタッキーのあたりまで走って行った瞬間・・・!
「バンッ!!!」 という音と共に、マフラーからスゴイ量の白煙が噴き出した。
エンジンブローである。エンジン回し過ぎである。「ガラガラ・・・」と音を立ている。バルブとピストンが突いていて、修理は45万コースである。163号線のど真ん中で止まってしまったその箱バンを、私は小さくガッツポーズしながら走り抜けて行ったのだが、運転手には見えただろうか。
自転車がクルマに勝った瞬間だった。