嫁の実家にはピアノがある。電子ピアノじゃなくて本物のアップライトピアノ。知り合いに「使わないから」ということでタダでもらったのだけど、宅配と備え付け(2階)と調律一式でで5万円ぐらいした。
自分の披露宴でカッコつけて弾いたはいいが大失敗。以来ピアノからは足を洗って全然弾いていなかったのだけど、「もしなんかあった時の為に」1曲ぐらいはソラで弾けるように、嫁の実家にいる時ぐらいは弾くことにした。まあ5万円もかけてせっかく大復活したのに誰も弾く人がいなかったらピアノも不憫だろう。
ピアノでも何でもそうだと思うけど、「1日サボったら3日サボったことと同じ」と言われるぐらいだから、披露宴で最後に弾いてから2年以上まともに触っていなかったことを考えると、もうすでに「弾けない人」と同じレベルである。得意だった曲も、初めて弾けるようになった曲も、コレ弾いたらイチコロ(と勝手に妄想している)曲も、その他たくさんのレパートリーもほとんど忘れてしまった。
弾ける頃は白魚のようだった(と記憶している)指も、いつの間にかカサカサでゴツゴツでサカムケでツメの間には油の黒いヨゴレが付いていて、悲しい疲れたオッサンの指である。ニワトリの足みたいだ。
鍵盤にはあまりにも似合わない指を、ぎこちなく動かしながら「オトンの手もこんなんやったなあ」と思い出す。
今日から自宅にある電子ピアノで始めよう。激しい曲は階下の住人に迷惑をかけるので静かな曲を再練習しよう。まずはベートーベンの『月光 第一楽章』から。