キャブオーバーホールその後



 部品が入荷するまでヒマだったのでピストンカバーだけ磨いてみた。

 エンジン不調とのことで入庫したこのクルマ。だいぶ古い年式のクルマだから、そこらじゅうのチューブやらダイヤフラムやら、ゴム製品の劣化が激しい。ホントは丸ごと新品に・・・といきたいところだけど、お金も時間も制約があるので応急処置のみ。

 そんなキャブを載せてもなかなか完調なんてしないわな。すっきりしない修理だ是。

 我々の仕事は恐れ多くも“医者”に例えられることがある。確かに、問診して処置して調子伺いをするとこらへんなんかは良く似ている。しかし人間とクルマの確実に違うところ。それは“お金さえかければ絶対に直る(治る)”ところ。

 どんなに古い年式のクルマだって、お金と時間さえかければ新車のようになるのだ。だけどそこまでするオーナーの情熱や、我々サービスマンの技術や経験なんかが不足していってるのが現状。人間の手によって作られた旧き良き時代の機械製品は、結局人間の手によって消されていくのだ。

 こんな作業もなくなってしまうのだろうなと思うと、磨く手にも力が入った是!