王滝レポート2009 その1

 今年の王滝は厳しかった。がけ崩れによるコース変更や距離の短縮等の予期せぬこともあったけど、何よりも前日から降り続く雨により路面状態は最悪で、体温は奪われるわブレーキパッドは無くなるわ・・・・。今年で2回目の王滝100kmだったけど、これが王滝民族の言う「王滝の洗礼」かと思いながら、命からがら完走した。

 ↑コレが今年の決戦仕様。前のボトルは工具&スペアパーツ。後ろのボトルは水。サドルの後ろにチューブ2本をくくりつけた。相変わらずメーター関係は全くなし。タイヤ空気圧はF2.0、R2.2。サスは上から140、下から120、自由長が100mmになるように。

 ↑スタート前。6時スタートで、5時半ごろ並べた。全体の真ん中よりちょっと前らへん。やっぱり雨なのでDNSにする人が多いみたい。この頃はまだ元気(あたりまえか)だったので、もっと雨降って参加人数少なくなれ!って思ってた。ゴメン。

 

 いよいよスタート。

 

 去年のタイムの更新を狙ってたので、序盤のアプローチからじわじわと順位を上げる。前が空いたらすかさず割り込み、そしてまた前が空いたら割り込む・・・・を繰り返し、始めの20kmは結構前の方にいたと思う。

 

 この辺りで走っている人はやはりとても上手。登りのライン取りや下りのテクニックなど、一緒に走っているだけでものすごく勉強になる。そして何よりも、自分の下りテクニックが上がっていることが物凄く嬉しかった。王滝上位常連の皆様に、下りで着いて行けてる!

 

 ところが降り止まない雨による気温低下と、想像以上の振動により手が痺れてきた。こういうことは練習中にもあったので、手をグーパーしてなんとかやり過ごしてきたのだけど、王滝は厳しい。それぐらいで手の痺れが解消されるなんてことはない。

 

 やがて、両手の指の感覚が完全に麻痺して、ハンドルを握ってるのかブレーキを握ってるのか、はたまたシフトレバーを操作しているのか全くわからない状態に。危険を察知してから操作に移るまでの時間が大きくかかるので、指はずっとブレーキレバーにかけていた。これが後ほど完走さえもあやぶまれる原因になったことはこの時点で想像もつかない。感覚が無くなった指は、ずっとブレーキレバーを引いていたようだ。

 

 カラダの震えも止まらず、足先も痺れてきた。もしこのまま崖下にでも落ちたら絶対這い上がってこれないだろう。というかパンクしても修理なんて絶対不可能。苦しい走行をしながらなんとかかんとか第1CPに到着。

 

 去年はスルーしたCPも今年は迷わずへたり込む。もうこれ以上走れないと思った。ガタガタとカラダは震え続けるし、指はいくらマッサージしても戻らない。リタイヤすることばかり考えてた。そこで30分ほどガタガタしていると、木馬仲間がどんどんやってきた。みんな寒くて辛そう。一緒にリタイヤしようかと思った。だけど誰もそれを言い出さない。「ココロ折れたわ~」とか「もう走られへんわ~」などと、お互い牽制球を投げあうが、最後の切り札がない。

 

 やがてノンちゃんがやってきて、ちょっと休憩してすぐに走り出した。なんかそれを見てると体が勝手に自転車を起こして跨ってた。手の痺れはまだ取れていないし、相変わらずガタガタ震えるけど、ノンちゃんが頑張ってんのにオレがこんなとこでヘタっててどうすんねん!とカラダが反応した。ノンちゃんと、お互い必ず完走しようと約束しあってペダルに力を込めた。

 

 ここから第2CPまでは長かった。いつもなら第3CPまであるのだが、コース変更に伴い第3CPが省略され、それぞれのCP間の距離が伸びた。CP1からCP2までは上り下りが半分半分ぐらいのさしてハードでないコースだったが、とにかく手の痺れのせいで下りがまともに走れない。サスを見るとなんと底付きしてる!スタート前にきっちり調整したはずなのに。どうやらフォークの中で高圧側と低圧側のシールが悪くなってるのかな?下からのエアをプシュっと抜いてストロークを確保する。ゴールまでにこの作業を3回やった。

 

 ヘロヘロになりながら自転車を転がし、ようやくCP2に到着。ブレーキの引き代が大きくなってきたのでパッドを確認すると、前後とも完全になくなってる。バックプレートがローターに当たっている状態。新品に交換してきたのに、雨の王滝は厳しい。厳しすぎる。ブレーキが効かない状態でこれ以上走るのは危険と判断して、係員にリタイヤを申し出る。

 

 ゼッケンについてるタグを自分で剥がし、係員に手渡す。自転車が走行不可能なことを申し出て、トラックに載せて下山してもらおうと思ったが、トラックが一杯で、どうしても乗せるならレースが終わって撤収作業の頃になるので夜になると言われた。

 

 ここからショートカットで下山しても10kmほど走らないといけないらしい。どっちにしろ下りがあるのなら、もうこのままいったれ!という気持ちになってきて、係員からタグを返してもらい、ゴールに向かって走り出すことにした。

 

 下りは歩こう。登りは乗ろう。とにかく完走しよう!いろんな理由で走れなくなった人たちに申し訳ない。とにかく絶対に完走しよう!

 

 続く。